ニッカウヰスキー 100周年に向け着々 新機軸のウイスキー投入

ウイスキー市場はここ数年右肩上がりだが、今年はコロナ禍の影響も受けて数字は落ち込んでいる。アサヒビール傘下のニッカウヰスキーも同様だが、設備投資を実施するなど将来への準備を進める。また新たな調査手法を用いて消費者が感じるプレミアムウイスキーへの不満を掘り起こし、新たなニーズを満たす提案も行う。

09年頃からウイスキー市場は成長を続け、昨年は前年比107%と高い伸びを見せたが、今年はコロナ禍の影響を受けている。1~2月は前年同期比103%だったが、3~7月は85%と大幅ダウン。家庭用は115%とアップしたものの業務用市場が54%と落ち込んだためだ。1~7月計でも89%と低迷中だ。

アサヒビールは700㎖当たりの実勢売価1千円未満をエコノミー、1千円以上2千円未満をスタンダード、それ以上をプレミアムと定義するが、ここ数年はエコノミー、スタンダードが市場を牽引する一方でプレミアムの微減が続く。これは国産原酒量が不足し、出荷抑制が続いていることが原因とされている。

ニッカウヰスキーも昨年は全体で16年比117%と伸長。エコノミー、スタンダードは120%を超える伸びだが、プレミアムは67%と出荷は減少している。

100周年に当たる2034年を見据えて、「現在を将来への準備期間」と位置付けており、19~21年で約65億円の設備投資を実施。余市・宮城峡の両蒸溜所で計2棟の貯蔵庫を増設して原酒貯蔵能力を約2割増強(19年比)するとともに、製造能力も約210%(15年比)を目指している。

将来に向けたファンづくりを意識し18年から既存プレミアムウイスキーや、これからのプレミアムに求められる価値探索を実施。結果として既存品では供給量増加と従来型の提案を継続するとともに新ブランドで新たな価値提案に挑戦することで、ファン化を促進することを目指すとする。

探索ではこれまでと異なる調査手法を用いた。従来はお気に入りの楽しみ方などを調べたが、今回は「生活行動での“プレミアム”に感じていること」を調査。「お気に入りのプレミアムな行動・体験」より「プレミアムウイスキーに感じる不満」へアプローチする方法を採り、深層心理や潜在的な欲求を掘り下げ、既存プレミアムの「重厚・本格・伝統」といったイメージではなく、「感性・センス・自由なスタイル」といった世界観の開発に取り組んだ。

新たに投入する「ニッカ セッション」は、華やかな香りが特徴のスコットランドのモルトと、ビターな余韻が特徴の日本のモルトを掛け合わせ、「個性の異なるもの同士がぶつかり合う『セッション』のように、スコットランドと日本のモルトが互いの個性を発揮しながら奏でる音楽をイメージしたウイスキー」をコンセプトに据え、事前調査ではコンセプトの受容性は高い。

ビール開発の経験が長く焼酎も経験した女川裕司ニッカウヰスキー主席ブレンダーが担当。先入観にとらわれない開発に挑んだ。

パッケージには斬新な青いボルトを用い、ロゴの「SS」を向かい合わせるデザインにすることで異なる個性のぶつかり合いを表現。セッションにより奏でられた音楽をモチーフに五線譜もデザインした。

ウイスキーと炭酸を1対3で割る「セッションソーダ」を提案。バーやホテルバーだけでなく、イタリアンレストランやバルなど自由なスタイルを目指す。通年販売だが原酒の制約から5万箱を上限に販売する。