コーヒー飲料 PETボトルVSボトル缶 各ブランドで容器戦略の違い鮮明に

近年のコーヒー飲料市場を容器別でみると、ショート缶やボトル缶の缶容器がダウントレンドにあり、ペットボトル(PET)容器が拡大傾向にあるが、今年に入りPETの伸びが鈍化したことを受けて缶強化の動きが出始めるなど各ブランドの容器戦略の違いが鮮明になっている。

缶を“濃厚な味わいの嗜好飲料”、PETを“すっきりとした味でゴクゴク飲める止渇飲料”と大別する見方が多く、コロナ禍で在宅時間が増加しレギュラーコーヒーなど手淹れの本格コーヒーを飲む機会が増えたことで、秋冬に向けては缶の濃厚な味わいに一層集中する動きもみられる。

「ジョージア」と「ボス」の2大ブランドは、規模が大きいこともあり缶にもPETにも注力する全方位戦略だが、どちらかというとPETに傾注している模様。

「ジョージア」は「ジャパンクラフトマン」と「ジョージア ラテニスタ」のPETコーヒー2シリーズで新規ユーザーの掘り起こしを加速し、「ボス」はPETで紅茶や濃縮飲料も強化しコーヒーの垣根を越えて“働く人の相棒”を志向している。

今年、容器戦略を大きく変えたものとしては「ワンダ」「ファイア」「タリーズコーヒー」の3ブランドが挙げられる。

この中で年初に缶への集中を掲げたのは「ワンダ」で、ボトル缶コーヒー「ワンダ極」シリーズはコンビニで施策を入れ続けたことが奏功して1―8月販売数量は前年同期比8%増となった。

「ワンダ極」の「微糖」「カフェオレ」「ブラック」3品の中で、コンビニでは「微糖」が一番の売れ筋になっている一方、配荷が拡大したスーパー・量販店では、手淹れコーヒーの影響からか「ブラック」が最上位となっている。

「ワンダ」を担当する河口文彦氏は「お客さまのライフスタイルに入っていくと飲み続けていただけるものと思っている」と説明する。

「タリーズコーヒー」はコロナ禍の消費動向の変化に着目して、主力のボトル缶に一層強化していく方針を掲げる。

「タリーズコーヒー」を担当する星野智信氏は、家庭用レギュラーコーヒー市場の販売金額が3-5月の期間、コロナ禍による家庭内時間の増加を受けて前年同期比20%以上伸長し、5月以降もこの傾向は続いていることを指摘。「在宅でレギュラーコーヒーの味を体験された方が通勤で缶コーヒーを飲まれる際、おいしさの基準がレギュラーコーヒーになってしまう」と語る。

旗艦アイテムの「バリスタズブラック」390㎖ボトル缶は、一部のコンビニで競合の売れ筋PETコーヒーを上回る伸びで回復していく動きがみられたという。秋冬に向けてはラインアップを拡充し、10月5日にタンザニア産豆を51%使用したブラックコーヒー「キリマンジャロ BLACK」285㎖ボトル缶、10月12日にブラックコーヒーユーザー向けの微糖コーヒー「ブラジル100%CLEAR BITTER」370㎖ボトル缶を新発売する。

これに先立ちUCC上島珈琲は、コク(濃さ)とミルク入りの二極化に対応していく中で、コクの強化策として、通常品の1・2倍のコーヒー量を使用したプレミアムタイプのボトル缶ブラックコーヒー「UCC BLACKブルーマウンテン&キリマンジァロ」を9月21日に新発売した。

ダイドードリンコは、効率的な働き方が求められる中、短時間の休息で本格的なコーヒーを味わいたいニーズもあると判断して、ショート缶「ダイドーブレンド ザ・ブラック」を7年ぶりにリニューアルした。

このように缶強化の動きがある一方、「ファイア」では好調に推移しているPETコーヒー「ファイア ワンデイ ブラック」をブランドの中核に位置づける。

同商品はブラジル産コーヒー豆を100%使用した無糖のブラックコーヒーで、コーヒー感と飲みやすさを両立させて常温でのおいしさにこだわった点が特徴。チビダラ飲み需要に応える600㎖の大容量ボトルもポイントで、これにより「持ち運びされてさまざまなシーンで一日中飲まれていることに加えて、在宅勤務による家飲み需要を新たに獲得した。600㎖の大容量で常温になってもおいしくチビダラ飲みできる点が非常に受け入れられている」と「ファイア」担当の増田健志氏は述べる。