コーヒーの革新へ外部から知見集約 小川珈琲が新業態「ラボラトリー」に込めた想い

小川珈琲は8月1日、同社直営店の旗艦店となる新業態「OGAWA COFFEE LABORATORY(ラボラトリー)」を東京・世田谷区桜新町にオープンした。

ここでは常時21種類のコーヒーを提供しているほか、トップグレードのスペシャルティコーヒーをラインアップ。店内にはシェアロースターとして利用可能な店内焙煎機を備え、店内ローストするシングルオリジンや多種多様なブレンドを、好みの抽出方法で楽しめるようになっている。

ジャパンラテアートチャンピオンシップ優勝経験を持つ衛藤匠吾氏をはじめ、トップレベルの技術を有するバリスタによるシグネチャードリンクやコーヒーカクテルも提供。店内焙煎機に加えてワールドバリスタチャンピオンシップ競技会水準のトレーニングが実施できるステーションを用意することで、さまざまな知見が集いコーヒーの楽しみ方を追求する拠点を目指している。

村上祐一総合開発部長は「「従来の店舗はトラディショナルスタイル、ラボラトリーはイノベーティブと位置づけており、ラボラトリーではオープンイノベーションをテーマに掲げている。世の中で情報の共有化が進む中で、コーヒーについてもそうあるべきだと考えている」と語る。

コーヒーを直感的・視覚的に選んでもらえるように、定番ラインアップの味覚が俯瞰できる“FLAVOR COMPASS”をカウンターメニューに記載。

ラボラトリーの内部(OGAWA COFFEE LABORATORY)
ラボラトリーの内部(OGAWA COFFEE LABORATORY)

さらに各銘柄についてより深く知ってもらうため、生産国・農園・精選方法等のデータほか、珈琲鑑定士やバリスタが味わいや生産者への思いを綴ったディスクリプションカード“BEAN”も製作。

これらはコーヒー注文の来店客に贈られ、オリジナルのカードホルダーに収録できるようになっている。

また、カード上に記載されたQRコードを読み取ると「小川珈琲」のオンラインショップにつながり、「ラボラトリー」のコーヒーが購入でき、自宅でも楽しめるようになっている。

コーヒーでさまざまな知見が集いコーヒーの楽しみ方を追求する拠点を目指すとともに、料理やデザインなどにもこだわった。

料理は「シェルシュ」の丸山智博氏を監修に迎え、コーヒーとのペアリングを重視して炭焼きをコンセプトにメニューを開発した。スペインのジョスパーチャコールオーブンを採用し、朝のトーストからディナーの肉料理まで旬の食材のおいしさを生かしたメニューを提供する。

空間中央にシンボルとして配置した「蔵」(OGAWA COFFEE LABORATORY)
空間中央にシンボルとして配置した「蔵」(OGAWA COFFEE LABORATORY)

店内空間は、クリエイティブディレクター・南貴之氏のアイデアを建築デザイナー・関祐介氏が手掛け、空間中央に茶室のようなにじり口のある「蔵」(コーヒー豆の貯蔵庫)をシンボルとして配置。その周囲に浮造りのカウンターを回遊させ、キッチンと客席を緩やかにゾーニング。ガラス張りの焙煎室とともに、客席のどこにいても珈琲職人の所作が見える空間を目指した。

伝統と革新の不易流行も志向し、和紙を使い左官仕事で壁面を仕上げ、床材に京都の廃線市電の敷石を使うなど、モダンでありながらも職人の手の痕跡が残るディテールで伝統的な日本の美意識を表現した。

加えて、ガラスのファサードから差し込む自然光を生かしライティングを最小限に抑えることで、時間の移ろいを感じられる空間を作りあげている。

村上祐一総合開発部長は「これまでの小川珈琲とこれからの小川珈琲を体現し、新しいことにチャレンジし続ける店舗。オープンを機にHPを刷新したことを皮切りにリブランディングのきっかけにしていく。モノのよさや自社のノウハウに固執するには限界があり、情報を開示しながらさまざまな人の知見や考え方を取り入れていかないと次の成長はないと考えている」と述べる。