スムージー感覚のカクテル「ベジバル」 RTDの価格適正化にも一石 キリンビール

キリンビールは缶チューハイ(RTD)新ブランド「ベジバル フルーツ&ベジの特製カクテル」3品を15日に発売する。素材感や品質感といった付加価値を高め、RTD分野では課題とされていた収益性も考えた設計だ。

RTD市場は多様な商品展開や価格面での優位性から間口や購入頻度が上昇し、近年は連続して前年比10%ほどの成長が続いている。

現在、350㎖当たりの酒税額は28円だが、今年10月の酒税改定では据え置かれる。価格面で競合しやすい第3のビールは同じ28円だが、10月1日には37.8円に増税されることから、RTDに追い風が吹くとみる関係者も多い。26年には増税されるが、それまでに19年比約1.4倍に達するとされる(キリンビール予測)。同社も今年1~7月のRTD計が前年比110%(3千880万箱)と高い伸びをみせており、うち「氷結」103%、「キリン・ザ・ストロング」135%、「本搾り」121%と3本柱ともに成長中だ。

市場の成長に対して仙台工場で75億円を投資して製造設備を新設。22年2月に稼働予定だ。

調査から体に良さそうな素材・製法に未充足のニーズがあるとみる。コロナ禍で健康志向が高まっていることもあり、「この部分を新しいカテゴリーと位置付け、付加価値の高い商品やブランドを目指して、今後もアプローチを続けたい」(山形光晴マーケティング部長)とする。

今回はその第1弾に当たるもの。新カテゴリーのコンセプトに「自然とつくる、人に心地いいお酒」を掲げ、コロナ禍で促進された健康意識などにも配慮した。野菜汁・果汁は最大で33%。繊維感を出すために野菜繊維分まで使ったが「スムージーでも濃過ぎず、飲み続けられる味覚」(高橋祐介RTDカテゴリー戦略担当)という。

口いっぱいに繊維感を感じられるよう、また見た目からも独自性が伝わるように広口ボトルを採用した。食事や飲用シーン、気分に合わせて選べるよう、「ベジバル フルーツ&ベジの特製カクテル オレンジmix」「同 グリーンmix」「同 レッドmix」の3種フレーバーを揃える。

通常の「氷結」などの参考小売価格が156円に対して、今回は229円とRTD市場の課題とも言われてきた収益性にも配慮。山形部長は「今のRTDはジュースより安く売られているものもあり、少しやり過ぎだ。適正価格という意味では、高付加価値の商品があれば消費者に分かってもらえるのでは」と話す。

アルコール度数は4%。7~9%の高アル帯が伸びているが「どのような酒が本当においしいのか、本当に度数だけで選ばれるのか」(山形部長)と問い、「度数のトレンドよりもニーズのトレンドを中心に置きながら一番良い味づくりを考えた結果だ」(同)と語る。

訴求面では、SNSや消費者間で伝わっていくようなコミュニケーションをデジタルや店頭で展開する。