難病と国政

8月28日に開かれた安倍総理大臣の会見を複雑な思いで見た。持病が悪化し総理の職務を続けることが難しくなったということだった。さぞかし無念だろうと思ったが、意外にもさばさばした表情が印象的だった。

▼安倍総理が患う潰瘍性大腸炎は難病。難病とは「症例が少なく、原因不明、治療法が確立されておらず、生活面で長期に支障をきたす恐れのある疾患」。医療費が助成されるとは言え、難治性ゆえ患者の精神的、肉体的、経済的負担は少なくない。

▼潰瘍性大腸炎の場合、難病の中では比較的患者数(約17万人)が多く、薬である程度、症状をコントロールできるとされる。安倍総理もそうしてきたようだが、新型コロナのストレスが病状を悪化させたのかもしれない。

▼憲政史上最長を誇った政権は唐突に終焉を迎えることになったが、新型コロナ対応を含め様々な課題は積み残したまま。安倍政権の評価は後世の歴史家に委ねることになるが、難病を抱えながら長期にわたり国政の舵取りを担ったことは、病に苦しむ多くの患者に希望を与えた。その点は評価されるべきだ。