お茶パッケージの吉村 リーフティーカップ、コーヒーの飲用シーンを日本茶でこじ開ける 橋本久美子社長

最大手の伊藤園から町の専門店まで、製造ロットを問わずクオリティの高いお茶(リーフ)の包装パッケージを作る吉村。単なるパッケージ企業にとどまらず、お茶離れが急速に進む現状を変えようとする熱い情熱は業界の誰にも引けを取らない。

水出し煎茶が簡単にできるフィルター・イン・ボトル、100枚から注文できるデジタル印刷のパッケージなど、お茶との距離を縮めようとするマーケッターでもある。その吉村が今秋発売するのが「リーフティーカップ」。橋本久美子社長が、コーヒーに独占されている飲用シーンを何とかこじ開けようとしている。

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当社は、創業87年の会社。最初は紙の茶袋でしたが、1973年にアルミの袋が開発され、以来技術の進歩とともにパッケージのクオリティも上がっていきました。

橋本久美子社長(吉村)
橋本久美子社長(吉村)

ただ、グラビア印刷はロットの大きい大量生産にしか対応できないため、小容量の商品は無地の袋にシールを貼るぐらいしか方法がありません。そこで取り組んだのが100枚からオリジナルデザインのパッケージが作れるデジタル印刷。これで専門店などのお茶屋さんが、肩肘張らないパーソナルギフトのお茶を販売できるようになりました。次に考えたのが簡単に水出し煎茶ができるフィルター・イン・ボトル。ギフトでお茶をもらっても家に急須がなければ飲めないため、茶葉を入れるだけで水出し茶が作れるワインボトルのような茶器を、多くのお茶屋さんと一緒になって広げていきました。

そして今回、取り組むのが「リーフティーカップ」。見た目はただの紙コップですが、底面部に茶葉が充填され、三角ティーバッグで使われているようなメッシュ素材を使った透明なフィルターで茶葉を覆い、お湯を注げば淹れたてのお茶が飲める仕組みです。フィルターは糊や接着剤を一切使わない熱圧着でセットしてあるため、安全性が高く風味を損なわないのがポイント。キッチンカーやスタンドタイプのカフェ、あるいはオフィスなどでは圧倒的にコーヒーが飲まれていますが、リーフティーカップとお湯があればワンアクションで、おいしくて温かい日本茶が飲めます。

もともとは、台湾のお茶の展示会で「リーフティーカップ」を作った発明家と出会ったのがきっかけ。一目見て、コーヒーが主役の飲用シーンに入れると惚れ込み、扱いたいと申し出ると複数の会社から契約の希望があり、日本に行って会社を見て回り、どこと組むか判断すると言われました。当社が選ばれた理由(吉村の独占販売)は、第一にお茶屋さんとの絆です。また、当社はお茶専門店を中心に、生産農家や小売店、メーカー、卸、JAなど約8千の口座があります。リーフティーカップが多様性を担保するものでありたいという発明家の思いと、日本茶の需要を切り開いていきたいという吉村の思いが組み合って今回の挑戦となりました。

種類は既製品とセミカスタマイズの2種類。既製品は、あらかじめ当社で茶葉を詰めたもの。セミカスタマイズは、発注先から支給された茶葉を当社が詰めるもの。カスタマイズが基本ですが最低発注ロットが500個からとなり、挑戦するハードルが高くなってしまうため60個から買える既製品も設けました。こうすれば商店街のイベントで使えたり、とりあえず試してみたいというニーズに対応でき、外で飲むのはコーヒーだけという現状を少しずつ日本茶が変えていくきっかけになると考えています。

また、お茶の周辺を充実させるための商品開発を積極的に行っていますが、その一つにお茶請けにぴったりな和風トッピングのチョコレート「粋町しょこら」(全12種類)があります。これは15年のインターナショナル・ギフト・ショーで、グルメ&ダイニング賞の食品部門でフード大賞を受賞し、それをきっかけとして全国各地のセレクトショップに「粋町しょこら」を置いてもらっています。でも、そうしたショップにはお茶がないんです。当社は、お茶専門店のテリトリーに入っていくことは考えていませんし、87年間そこには一線を引いてきました。ただ、可愛いお菓子などを売っていても、日本茶のちゃの字もないようなところや、お茶売場を作ることができなかった場所の扉を「リーフティーカップ」でこじ開けていきたいと考えています。