漬物 課題は多様化と財務 非常時に強い“生活産業”

漬物市場も今年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けている。量販スーパー向けの市販品は販売堅調だが、業務用外食ルート、観光土産向け、対面販売店などが大打撃を受けている。それでも市場トータルでは絶望的な落ち込みではない。長らく日本の食卓を支えてきた漬物産業は“生活産業”であり、非常時には強い。

19年の漬物出荷額は3.1%減の3千100億円となった(本紙推定)。野菜安と天候不順により販売はやや低調だった。今年は新型コロナの影響で、外出自粛要請により業務用は3月頃から6月頃まで大打撃を受けた。

一方で、巣ごもり需要により量販スーパーで売られる家庭用市販品や、ネット通販の商品は好調に推移した。基本的な生活を支える食品、しかも漬物という日本人に最も身近な食品を扱う漬物産業はいわば生活産業であり、非常事態に強さを発揮する。

しかし、需要の急増や原料・包材不足により、キムチ、沢庵、紅生姜、刻み漬など一時出荷調整せざるを得なかったジャンルもあった。現場スタッフは自分もいつ新型コロナに感染するか分からないという不安を抱えながら、それでも商品供給に邁進した。

先行きはまだまだ不透明であり、さらなる景況悪化とそれに伴うデフレを懸念する経営者も少なくない。ウイズコロナ時代こそ価値訴求が重要である。値頃感は必要としても価格訴求一辺倒に流れるのではなく、商品価値を売場や消費者へしっかり訴求したい。

さて、業界の今後の重要課題は多様化と財務強化である。多様化は販売チャネル・事業・商品などを指す。非常時に強い産業とはいえ、これらの偏りが大きいメーカーは今回のコロナ禍で少なからずダメージを受けた。

ただ多様化と言っても闇雲に数を追求するのではなく、1本から2本、2本から3本と着実に複数の柱を育てていきたい。また、非常時ほど流動性の高い資産が必要となるため財務体質を強化する必要がある。

原点に立ち戻り、「おいしくない商品は売らないこと」と改めて強調する経営者もいる。“おいしい”の概念にもいろいろあるが、消費者が期待する水準を維持し続けることは売場維持に向けても極めて重要。“絶対に食べたい”という感情が沸き起こる商品を提案し続けたい。