飲料受託製造のキンキサイン コロナ後の市場環境変化を注視 山口祖廣社長

飲料の受託製造を行うキンキサイン(兵庫県姫路市)は、昨年本社第二工場の3号ラインが稼働。製造能力がアップしたこともあり、19年12月期売上高は前年比7.2%増の約269億円と過去最高の売上げを記録した。今年も本社第二工場で製造ラインの増強に取り組んでおり、年内にも稼働する見込みだ。

しかし、コロナ禍の影響で1~7月の飲料業界全体の出荷数量は93%程度に落ち込んでいる。他の業界と比較すると数字的には大きく落ち込んでいないようにも見えるが市場全体で7%減はインパクトが大きい。同社の売上げも前年を少し下回り推移している。山口祖廣社長は「昨年の増収は特殊要因が重なったことによるもので、今年はもともと前年割れの予算を組んでいた」と説明。

飲料製造は季節変動が大きく夏場に需要が集中するため、冬場の受注が増えれば増収増益につながりやすい。昨年冬にナタデココ飲料の需要が増加したが、同社はナタデココ飲料など固形物が入った飲料を製造できる数少ないメーカーで、閑散期の冬場に受注が集中したことも貢献した。

また、一昨年に発生した中国地区の水害では、製造拠点が直接被害を受けたメーカーがあったほか、幹線道路が寸断され物流に支障をきたした。前期はその反動増もあった。

今年に関しても「本来であれば東京五輪が開催されるはずで、首都圏の物流が相当混乱することが想定されており対応が課題になっていた。対策としてメーカーは各所のデポに事前に商品をストックする計画になっており、前倒しの受注が増えている」こともプラスに働いた。

巣ごもり需要の増加では一時的に家庭でのストック需要が高まった時期もあった。しかしSMは前年を超えているものの、リモートワークや外出自粛で自販機やCVSの数字が落ち込んでいる。特に行楽地などの落ち込みが著しい。

「緊急事態宣言解除後の6月は前年並みの水準まで回復したが、気温が上がらなかった7月に再び落ち込み、8月は猛暑で出荷が増えるなど状況は刻々と変化しており注視している」。

また、プラスチックごみが大きな社会問題となり、各業界で対応が求められている点については「飲料業界でもこの問題に対応して樹脂の使用量を減らしたり、ラベルを薄いものに変えるなど対策は行われている。当社も社会貢献の意味からも取り組んでいくが、環境対応は売上増にはつながらずコスト増加になる。市場が縮小する中で対応するのは簡単ではない」と心配する。

人口減少により飲料市場の縮小が予想されていることに関しては「飲料業界における当社のシェアは2%程度。もし3割4割シェアがあるならば市場縮小が直に売上減少につながるだろう。しかし、市場全体が縮小するとしても2%を2.5%にすることは可能で、その点に関しては心配していない」と語る。