セブン&アイHD 米コンビニ3位買収へ 成長市場で将来に布石

セブン&アイ・ホールディングスは3日、米コンビニ3位のスピードウェイ社を買収する方針を発表した。提示価格は210億ドル(約2兆2千億円)。来年前半にも取得を予定している。

スピード社をめぐっては2月に独占交渉権を得て買収を目指したものの、価格面で折り合えず一度は断念していた。コロナ禍のもと世界の小売業に委縮ムードが漂うなか、異例の巨額買収を決めた。

同日の会見で井阪隆一社長は「グループの成長ドライバーであるセブン‐イレブン・インク(SEI)が、堅調な成長が見込まれる北米市場でマーケットリーダーとしての地位を確固たるものにする千載一遇の機会に恵まれた。世界7万店を超えるセブン‐イレブンブランドをより強固なものにするとともに、コンビニを軸とした真のグローバルリテーラーへの第一歩として、歴史的な統合になる」とその意義を強調した。

米国のコンビニでは、収益の大きな柱となるのがガソリン販売。米石油精製大手マラソン・ペトロリアム傘下の企業であるスピード社も、ガソリンスタンド併設のコンビニを約3千900店舗展開している。

ガソリン事業の収益は中期的に安定が見込めるものの、「長期的には食品で選ばれるチェーンを目指す。日本と同様、米国でもフレッシュフードを目的に来店いただける、生活になくてはならない店にしていきたい」(井阪氏)。

日本式のチームMDによる地域に合わせた商品開発でも成果が出ているほか、ワシントンDCやニューヨークなどでは今春から次世代型店舗の実験をスタート。新型コロナによる影響が大きい地区にもかかわらず、平均日販や客数、フレッシュフードの構成比がいずれも大きく拡大。成功事例を標準化し、既存店への展開も目指している。

統合後の米国内「セブン‐イレブン」店舗数は、SEIの既存店舗と合わせて約1万3千店に拡大する見込み。ただ大手3社を中心とした寡占状態にある日本市場とは異なり、米国のコンビニ上位10チェーンの合計店舗数は、15万店以上にのぼる全店舗数の2割に満たない。細分化された市場で、再編が近年加速しつつある。

日本市場が人口減少にともない縮小に向かうのを横目に、米国は人口・GDPとも2050年にかけて右肩上がりが続くと予想されている。成長市場で本格化する再編機運に先手を打ち、将来的に圧倒的シェアを握るための布石とする考えだ。