旭食品 ウィズコロナ時代の新事業と提案営業 BtoCに手応え ものづくりは地域から 竹内紘之副社長に聞く

旭食品グループの前3月期は売上高が前年比104.4%の4千778億円、経常利益が同55.9%の12億8千600万円で着地した。今期は新型コロナウイルスの影響を受けホテル事業や外食卸が苦戦する一方、本業の食品卸は内食需要の拡大により伸長している。こうした中、新たに始めたBtoC事業や物流改革、地域における“ものづくり”の取り組みなどについて竹内紘之副社長に話を聞いた。

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――旭食品グループの20年3月期は増収減益でしたが、総括をお願いします。

竹内 売上げについては大手得意先の帳合取得もあり、関東・九州を中心に好調に推移した。売上総利益率も前年を上回り、メーカーの商品値上げの折には価格交渉もしっかりとできた。

だが、総じて販管費が増加した。総販管費は前年より66億円増えているが、そのうち約10億円が物流費の高騰によるもの。費用に見合った利益という点では、まだ厳しい状況にある。トモシアホールディングスの決算も販管費が4.3%増えており、カナカン、丸大堀内を含む3社で見ても同じような傾向で経費増を吸収しきれていない。

――迎えた今期は新型コロナウイルスの影響が大きく出ていると思われますが、ここまでの状況はいかがですか。

竹内 5月までの累計売上げはグループで前年比100.8%。特にCVS向けの商売が4、5月は90%前後と厳しかった。また、ホテル事業と子会社と外食卸が大きく減少している。

一方で各支店は良かった。子会社を除く売上げは前年比107.1%で、予算に対しても103.8%と上回った。主な商品部門別の伸び率は食品105.7%、市販冷食119.5%、業務冷食96.4%、鮮冷(水産)85.5%、畜産92.4%、チルド101.8%、酒108.7%、菓子114.5%、アイス111.7%、雑貨109.7%。

予算策定の段階から、外食やホテルが新型コロナウイルスの影響で厳しくなるのは目に見えていた。それに対し、国からの助成などの情報を得ながらいろいろ対策を打ってきた。

子会社の水産卸、かいせい物産では得意先の外食が厳しい中、BtoCの取り組みとして「ドライブスルー魚屋」を実施した。一般消費者向けにセットアップした鮮魚を販売するのもので、それがプラスとなりマイナス分を予定以上にカバーすることができた。

また、これを実施したことで、外食卸がBtoCを行うことの利点に気づくことができた。適正利益を得ながら、消費者には店頭より買いやすい価格で提供できる。今後、寿司のデリバリーなど新たな事業も視野に入れている。

――今期からロジスティクス本部が新設されましたが狙いは。

竹内 人件費も含めた物流コストが大きく増大する中、これまではある程度、支社や支店など現場に任せていた部分をロジスティクス本部が入り、全体最適の視点からどう変えるべきかというプランニングを一緒になって行う。

今期一番大きな取り組みは新大阪センター。高知の南国センターを除くと当社で最大級となる。今月、摂津の大阪北センターの移管が終われば大阪エリアの物流が一本化される。これに関してもロジスティクス本部と近畿支社、大阪支店が一緒になって取り組んだ。

――昨年、高知大学との包括連携協定に基づき「旭ものづくり研究所」が設立されました。食品の成分分析など基礎的な研究を行い特徴ある商品の開発につなげるというのがコンセプトですが、どのようなものになりますか。

竹内 昨年4月から社内に「ものづくり戦略会議」を立ち上げ、差別化するためにどういうものに取り組むべきかを話し合ってきた。大手メーカーの研究施設と同じことをやっても、地域卸としてのものづくりのメリットは出せない。

第一の注力事業として研究材料に考えているのが、ゆずの事業。果汁や皮の成分を分析して健康効果などを模索するほか、産地ごとの香りや成分値の違いなどの研究を進めていきたい。もう1つがブランドとして確立されている「酔鯨」。清酒の製造においても、同様に成分分析により、新たな効果を見つけることができないか。

方向性はわれわれが調達できる地域の原料にスポットを当てながら、モノづくりの研究につなげていくこと。そのためにも、まずは地元から展開していきたい。

――今年は新型コロナの影響で貴社を含め、各卸売業が例年実施する展示会が軒並み中止となっています。営業活動への影響は。

竹内 秋冬向けの展示会はデジタルのものも含め実施しない。だが、この4月から全セールスがスマートフォンを持ちマイクロソフトの「チームス」を導入し、デジタルツールを利用した情報伝達ができる環境を整えた。また、商品統括本部では、令和における商品需要やウイズコロナの中での需要の変化といったストーリーの中で、カテゴリーごとの提案をデータベース化した。

各セールスが足を運んで、これらを利用しながら商品提案を行う。営業マンの数が多いという強みが、こういう時にこそ生かせる。今後、成果を検証しながら、同時に来年以降へ向けてはWebを利用した展示会なども見据え対応していきたい。