抹茶 健康価値広まり定着化 「matcha Love」逆輸入し新潮流に意欲 伊藤園

抹茶の原料となる碾(てん)茶は、摘み取り前に日光を遮ることで旨み成分であるテアニンを多く含んでいるのが特徴。また、抹茶は碾茶を石臼で挽いて、まるごと食すものとなることから、お湯に溶けにくい栄養素や健康成分も摂取することができる。

抹茶には、テアニンほか、カテキン、ビタミン、ミネラルなどの健康成分が豊富に含まれている。

実際の売場で最近、このような健康成分に関する言葉をよく耳にするようになったと指摘するのは、特販営業本部専門店部第一課の永野亮課長代理。

「売場に立つと女性のお客様から“抹茶の健康性”についてよくご質問をいただく。ヘルシーな食生活を心がける方が増加していることもあり、抹茶の健康価値がだいぶ浸透してきたように感じる」と語る。

6月17日にオープンした「茶寮 伊藤園 有明」と特販営業本部専門店部第一課の永野亮課長代理
6月17日にオープンした「茶寮 伊藤園 有明」と特販営業本部専門店部第一課の永野亮課長代理

取材日、永野課長代理が立ったのは6月17日に有明ガーデン内にオープンした「茶寮 伊藤園 有明」。
ここでは、専門店品質の緑茶ほか、茶道のお点前(てまえ)で使用される抹茶や、抹茶ホワイトチョコレートラテ、抹茶ソーダ、さらにはプレミアム抹茶ビールといった多彩なアレンジメニューが提供されている。

「入り口はどうであれ、最終的に抹茶やお茶を生活の中に取り入れていだけるように心がけている」という。

「茶寮 伊藤園」は現在13店舗ある。

「matcha LOVE(マッチャ ラブ)」ブランドを冠にした新店舗。渋谷ヒカリエShinQs(東京都渋谷区)フードフロア地下3階の東横のれん街に位置する。
「matcha LOVE(マッチャ ラブ)」ブランドを冠にした新店舗。渋谷ヒカリエShinQs(東京都渋谷区)フードフロア地下3階の東横のれん街に位置する。

伊藤園ではこのほか、お茶の情報発信の拠点として「ocha room ashita ITOEN 」「日本橋 和の茶 伊藤園」「Four Green Leaves ITOEN」などの直営店舗を、それぞれ出店先の特徴やコンセプトに合わせて展開し、お茶の魅力を様々なターゲットに発信している。

この中で、6月5日、渋谷ヒカリエShinQs(東京都渋谷区)フードフロア地下3階の東横のれん街にオープンした「matcha LOVE(マッチャラブ)」は、抹茶に特化した日本初上陸の店舗である。主に、抹茶ドリンクや抹茶ソフトクリーム、有名ベーカリーが手掛ける抹茶を使用したパンを販売している。

「matcha LOVE」ブランドは、北米の伊藤園グループが13年からアメリカで展開しているショップ・製品ブランドで、好評につき18年に逆輸入。上質な抹茶と天然水を混ぜて“振ってつくる”パウダーインキャップの抹茶飲料を販売したところSNSなどで話題になった。

店員が抹茶ドリンクの注文を受けるたびに抹茶をたてて提供する。店頭に立つ特販営業本部百貨店一部第二課の近藤伸吾課長(伊藤園)。
店員が抹茶ドリンクの注文を受けるたびに抹茶をたてて提供する。店頭に立つ特販営業本部百貨店一部第二課の近藤伸吾課長(伊藤園)。

今回、新店舗を構えた理由について百貨店一部の武田康伸部長は「元々抹茶に親しみのある日本でも、若い女性を中心に高品質な抹茶をよりカジュアルに楽しんでいただきたいという想いからオープンにいたった。 お点前の抹茶に留まらない抹茶の魅力・楽しみ方を新しい切り口で提案していきたい」と説明する。

新店舗では、店員が抹茶ドリンクの注文を受けるたびにお点前品質の抹茶をたてて提供しているほか、抹茶を使ったソフトクリームなどをラインアップしている。

同店の船倉唯店長は「平日はお昼休みや仕事終わりに女性のお客様が訪れる。ヘルシー志向から国産抹茶を使用した甘さのない無糖の『抹茶ラテ』が人気。週末は様々な方が訪れ、ソフトクリームも売れる」と述べる。

ソフトクリームで船倉店長が同店ならではのものとして推奨するのは「抹茶ソフトクリーム」と「北海道ミルクソフトクリーム」を組み合わせた「抹茶ミックスソフトクリーム」。コーン486円(税込)、カップ432円(同)で販売している。

パンは、パリ5ツ星ホテル仕込みのパンを味わえる人気店「ブランジェリー&カフェ マンマーノ代々木上原」(東京都渋谷区)が伊藤園の本格抹茶を練り込み焼き上げたものを販売している。

「抹茶パイコロネ」など伊藤園の抹茶を使った5種類のパンが販売される。
「抹茶パイコロネ」など伊藤園の抹茶を使った5種類のパンが販売される。

5種類のパンを取り揃え(20年7月現在)、この中で人気なのは「ブランジェリー&カフェ マンマーノ代々木上原」の看板商品でTVでも取り上げられた「m.m コロネ」に、抹茶を組み合わせてつくられた「抹茶パイコロネ」。

ドリンクとパンを一緒に買うと50円割安となるセット販売も行っている。同店が出店する東横のれん街には、フリーイートスペースが設けられ、同店の商品のみならずB3・B2の東横のれん街で購入した商品がここで飲食できるようになっている。

東横のれん街を運営する東急百貨店の広報担当者氏は「個人的には伊藤園さんというとオーソドックスなお茶のイメージが強かったが、老舗のイメージと斬新な取り組みが組み合わさったところに期待している」と述べる。

伊藤園特販営業部百貨店一部第二課の近藤伸吾課長は「抹茶は今、特に健康を意識される女性の方に日常のものとして受け入れられ定着のステージに突入した。抹茶にはまだまだ可能性があり、今後も新しい素材とのコラボで抹茶の楽しみを提供し“伊藤園の抹茶”のアピールにつなげたい」と意欲をのぞかせる。

コロナ禍にも負けずお茶の発信に意欲 伊藤園百貨店一部の武田康伸部長が語る

店舗でもブランドをアピール。上質な抹茶と天然水を混ぜて“振ってつくる”パウダーインキャップの抹茶飲料「matcha LOVE」と「同 ほんのり甘い」(伊藤園)
店舗でもブランドをアピール。上質な抹茶と天然水を混ぜて“振ってつくる”パウダーインキャップの抹茶飲料「matcha LOVE」と「同 ほんのり甘い」(伊藤園)

伊藤園の百貨店一部は、小売部門として百貨店売場でお茶の専門店を展開。緑茶をはじめとするリーフ(茶葉) 製品を中心に、お茶ギフト、紅茶、フレーバーティー、ルイボスティー、茶器などの販売している。

その一方で「茶寮 伊藤園」をはじめとした飲食事業も展開。これら専門店の狙いについて、伊藤園百貨店一部の武田康伸部長は「直接お客様との接点を持つことでお客様のニーズを見出だし、お茶を通じてお応えすることで、伊藤園ブランドの価値をより高めていく役割を担っている」と説明する。

コロナ禍で百貨店が軒並み休業を余儀なくされたことに伴い百貨店一部も痛手を負った。「コロナ禍はかつてない大きな影響をもたらしており、当社直営店舗の時短営業・休業比率は 4 月末時点で9割を超えた。 また、接客時における様々な販売制限が発生しており、販売の要となるお茶の試飲もままならないため、美味しさを十分にお伝えすることができないなど、以前よりお客様とのコミュニケーションが難しい状態となっている」。

このことに加えて、新茶時期の催事などの集客を目的とする企画も実施できない状況で「百貨店様が抱える問題点がそのまま当社でも浮き彫りになっている」と危機感をあらわにする。

「茶寮 伊藤園」などで発売されるプレミアム抹茶ビール
「茶寮 伊藤園」などで発売されるプレミアム抹茶ビール

新型コロナ感染予防対策としては、販売時のマスク着用とこまめな手洗い、売り場のクレンリネスを徹底。

「茶寮 伊藤園」をはじめとした全ての店舗では、座席数を減らしてソーシャルディスタンスを保ち、日々の検温管理等の対策を徹底。「お客様と従業員の安全を第一に考え、コロナ禍においても新たなお茶の魅力をお伝えできるような工夫をしていく」。

今後については「当社のお茶が様々なシーンにおいてお客様の満足につながるよう、主要百貨店様の出店フロアの特徴やコンセプトに合わせて、“お茶伊藤園”だからできるお茶の魅力を最大限お伝えできる店舗の提案を続けていく。また、お茶屋としての経験やノウハウを生かして伊藤園ならではの最高のおもてなしを提供する。お茶を通じてお客様と日本茶の接点を作り、伊藤園ブランドの認知と価値向上を目指していく」との考えを示した。