ビール類 5月下旬から徐々に回復 新ジャンルがビールを逆転か

今年のビール類は好調な出足から一転、コロナ禍で業務用を中心に苦しい展開を強いられたが、緊急事態宣言解除後の5月下旬から徐々に回復傾向を見せている。

4月のビール類出荷数量は前年同月比79%ほどだったが、5月は87%と持ち直した。狭義のビールも4月48%に対して5月は60%だった。

6月ビール類計は約95%と、万全ではないものの回復基調にあることがうかがえる。上半期(1~6月)では約90%だった。ビール最大勢力のアサヒビール「スーパードライ」の6月販売数量は4月と比較して30ポイント改善しており、4月を底にして回復している。

キリンビールのビール類販売数量は6月105%と前年超え、上半期は96%。サントリーは6月96%、上半期89%。サッポロビールは6月100%、上半期93%。金額ベースで公表しているアサヒビールは6月84%、上半期83%。

狭義のビールは6月単月で81%、上半期は74%と厳しい。ビールは発泡酒、新ジャンルより業務用比率が圧倒的に高く、飲食店の多くが休業や時短営業を強いられたために影響が強く出た形だ。6月以降も、回復しているとはいえ元通りとはいえず、感染対策を行いながらの営業が続くとみられることから「しばらくは緩やかな回復にとどまるのでは」(メーカー)との見方が多い。

キリンビールのビール販売数量は6月89%、上半期76%。サントリー6月74%、上半期66%。サッポロビール89%、上半期78%。アサヒビールでは主力の「スーパードライ」が6月78%、上半期74%(同社はビール・発泡酒・新ジャンルごとの前年比を公開していない)。

一方で新ジャンル(第3のビール)は好調だ。6月単月でも111%と大きな伸びを見せており、上半期でも106%に達している。コロナ禍で巣ごもり需要が増加したことに加え、昨秋の消費増税から加速した節約志向が後押しした形だ。

18年投入のキリンビール「本麒麟」の躍進は続き上半期155%。「のどごし〈生〉」も6月は100%。今年発売のアサヒビール「アサヒ ザ・リッチ」も計画を上回る進捗を見せ、発売後約3か月半で、上方修正した年間販売目標(800万箱)の4割を超えている。サントリー「金麦」では、“夏の「金麦」”が好評で6月は104%。「金麦〈糖質75%オフ〉」は116%と大きく伸ばした。サッポロビールも2月投入の「ゴールドスター」が計画を上回る実績。

新ジャンル計の販売数量はキリンビール6月116%、上半期108%。サントリー6月108%、上半期は前年並み。サッポロビール6月135%、上半期135%。アサヒビール「クリアアサヒ」は6月92%、上半期95%。

正確な全体量は不明だが、一部関係者は、今年上半期の新ジャンル販売数量が初めてビールを上回ったとみる。

ただ10月にはビール減税が実施され、価格差は縮小することから、10月を境にビールに流れが戻るとの見方も多い。「新ジャンル優位は一時的」との見方が多いが、一方でコロナ禍で生じた変化の影響力は社会生活全般に及ぶことから、酒税改定のインパクトを上回るとみる関係者もおり、「正直言って先は見通せない」(メーカー担当者)が本音かもしれない。