今さら元に戻せない

キャッシュレス決済のポイント還元策が先月末で終わり、C&C(キャッシュ&キャリー)を運営する卸の社長が悩んでいた。本来C&Cとは、主に業務用の得意先が現金で支払い商品を持ち帰る業態だが、この店では還元策を導入後、キャッシュレス支払いの比率が4割に上昇。客単価も高まった。

▼しかし、「本業の卸売業の利益率は1%にも満たないのに、2%超の手数料は痛い。でも今さら元には戻せない」と頭を抱える。一方で、小銭のやり取りなどが省かれ、便利さを感じているのも確か。

▼コロナによる衛生意識の変化も普及の追い風となった。増税に絡めキャッシュレス化の浸透を図った政府の思惑は一定の成果を収めたようだ。

▼今さら元に戻せなくなったのは、この人たちも同じ。前法務大臣から受け取った現金を「返すつもりだった」が返せなくなった地元の首長や議員。肝心の夫妻は辞職しないまま逮捕された。多額の資金を提供した安倍政権の説明は二転三転。トップの総理から地方議員にまで浸透しているのは、小銭ほどの重みもない責任感だけか。