レジ袋有料義務化 業態間で異なる事情 温度差抱えスタート

小売店などでの会計時に、無料で提供されてきたプラスチック製買物袋(レジ袋)。容器包装リサイクル法の省令改正にともない、1日から原則有料化される。先行しているスーパー各社ではすでに有料化に踏み切っている社も多い一方、「無料」が当たり前だったコンビニや外食でも手探りでの取り組みが始まった。

コンビニ「1枚3円」で大手足並み オペ煩雑化に懸念

「立ち寄り型」の利用が多い業態の特性上、マイバッグを持参する顧客が少ないコンビニ業界。環境配慮の施策が進むなかでも、利便性の観点から負の影響が大きいレジ袋有料化は最後の砦だった。

日本フランチャイズチェーン協会は、コンビニにおけるレジ袋辞退率を20年度までに30%以上とする目標を掲げてきたが、この10年ほど25%前後で低迷。12年以降はむしろ漸減傾向が続く。有料化によって顧客の意識変化を促せるかがカギだ。

同協会では、法律上は有料化対象とならない生分解性プラ製レジ袋やバイオマス素材25%以上配合のレジ袋も含めて、1枚3円前後とするコンビニ向けの指針を策定。セブン‐イレブンは特大サイズのみ5円、それ以下の4サイズは一律3円としたのをはじめ、大手各社ではおおむねこの指針に沿って足並みを揃える。

一方、北海道を基盤とするセイコーマートではバイオマス30%配合のレジ袋に切り替え、新型コロナ対応を理由に無料提供を継続。有料化の時期や価格は検討するとしながらも、大手の対応とは一線を画した。

またミニストップでは、昨年6月からレジ袋無料配布中止の実験を千葉県内の2店舗で開始。今年2月には全国の直営約100店に拡大し、6月から全店で有料化するなど他社よりも先行してきた。6月のレジ袋辞退率は約70%となり、7月以降は75%を目指すとしている。

課題となりそうなのが、現場でのオペレーションだ。従来は顧客から辞退の申し出がない限り、会計後の商品は従業員が無断でレジ袋に詰めるのが標準の流れだった。

だが有料化後は「レジ袋の必要有無の確認および有料の案内と、お客様の了承をいただくことを(加盟店への)推奨オペレーションとしている」(ファミリーマート広報)、「(袋の要・不要を)都度確認する事を推奨している」(ローソン広報)など、会計のたびに「レジ袋は有料ですがいりますか」と尋ねることが求められる。店・客の双方にとって煩雑さは増す。

さらにスーパーのように袋詰め用のサッカー台がないコンビニでは、顧客がマイバッグに商品を詰めるのにも会計時と同じレジカウンターを使うことになる。客が袋の取り出しや大量購入した商品の袋詰めに時間を取られ、とりわけ混雑時には会計待ちの時間に影響を与える可能性もある。現場から吸い上げた課題を一つ一つ解決しながら、オペレーションを最適化していくほかなさそうだ。

スーパー 有料化は歓迎 “例外”に注文も

レジ袋の無料配布中止、マイバッグ持参の動きが広がるスーパー業界。これまで「レジ袋無料配布中止の法制化」を要望してきたこともあり、有料化の義務化には歓迎の立場だ。

日本チェーンストア協会では1995年以降、レジ袋削減キャンペーンを数次にわたり実施してきたが、今年3月のレジ袋辞退率57%(同協会調べ)にとどまる。自主的な取り組みだけでは限界があっただけに、義務化による辞退率の向上に期待する。

ただ、課題もある。今回、有料化の対象となるのはプラ製だが、リユース可能な厚手のもの、生分解性プラ配合率100%のもの、バイオマス素材の配合率25%以上のレジ袋は対象外。同協会では「消費者の混乱を避け、国民の価値観やライフスタイルの変革を促すよう全てのプラスチック製買物袋を有料化義務化の対象とする」ことを求めている。

外食 障壁高く無料継続 増す負担 対応苦慮

FF業態を中心とした外食店で提供されている持ち帰り用のレジ袋も、原則有料化の対象だ。ただスーパーなどと異なり、汁気が多いメニューをはじめとしてマイバッグで持ち運ぶのには適さない商品も多い。店内飲食と持ち帰りとで消費税率が異なるなど処理が煩雑になることもあり、レジ袋の有料化には障壁が高い。

またコロナ後の環境変化から、従来は店内飲食のみだったチェーンでもテイクアウト販売が急増。緊急事態宣言の解除後も客足の戻りが鈍い外食業界では、この機運に水を差したくない思惑もある。

業界大手のマクドナルド、吉野家、ロイヤルホスト、くら寿司などがバイオマス素材のレジ袋に切り替え有料化を回避する方針で、他社も多くはこれに追随するものとみられる。ただ無料提供を継続する場合も、バイオマス袋導入によるコストアップ分は自社負担となる。

また中小・個人店もテイクアウト拡大を進めているが、「本体価格+袋代」の一体価格表示の場合でも、客が袋を辞退した場合はレジ袋分を除いた金額となる。軽減税率の煩雑さに加え、オーダー時に客に確認する必要があることや、1円、5円硬貨が使えない券売機が大半であることから、多くの店が対応に苦慮。混乱も予想される。

意識変化を促せるか

レジ袋有料化に向けた動きの大きな背景となったのが、環境への脅威として近年クローズアップされている海洋プラスチック問題だ。

ただ環境省による16年の調査では、国内の海岸に漂着したプラごみのうち、レジ袋を含むポリ袋は体積比で0.3%。大半を占める漁具関連を除いても、他のプラ容器などと比べれば特段多くはない。家庭から出るプラごみのうち、レジ袋が占める割合は2%程度とされる。

また無料で配布されるレジ袋は、家庭でごみを出す際の袋として再利用されることが多かった。有料化にともない店頭でのレジ袋配布が減れば、ごみを出すために別途購入したポリ袋の使用量が増えるだろう。

今回の取り組みだけでは、プラごみの排出抑制に劇的な効果は期待できないかもしれない。それでも、PETボトルをはじめとしたプラ容器に比べて着手しやすいレジ袋の削減は、社会全体で取り組むべき環境課題解決への第一歩としての意味がある。これまで無料で入手できたレジ袋という名のごみ袋が有料となることで、ごみ排出を抑えるモチベーションにもなる。

人々の意識を少しでも変えられたときにこそ、今回の施策の真価が現れると言えそうだ。