味を決めるのは『塩』 和食メニューはだし塩で

「プロに聞く塩」小料理 にしくら

新型コロナウイルス感染拡大に対する外出自粛要請で営業がストップした外食産業。6月に入り都内では、ようやく営業を再開する店舗が増えてきた。しかし、営業を再開しても集客は以前とは比較にならず、約3か月間の営業自粛中および、再開以降で廃業を決めた経営者も少なくないようだ。

コロナショックが外食産業に与えた大きな痛手は、そのまま塩市場にも反映されているが、再開された料飲店で決め手となるのはやはり塩だ。

「小料理 にしくら」は東京都文京区、「谷根千」と呼ばれる下町の繁盛店。鮮度にこだわった原料、高い調理技術で提供されるメニューは約40種。和食を中心に洋風、中華とバラエティに富む品揃えが人気。人気メニューは刺身の盛り合わせ、アジフライ、レバーソースなど。常連客は「料理はすべて一工夫が施されて美味しい。塩が違うのではないか」と口を揃える。経営者の西倉政雄さんに同店の「塩」について聞いた。

人気メニュー(谷中 小料理にしくら)
人気メニュー(谷中 小料理にしくら)

- 料理の世界へはいつから。

西倉 大阪のあべの辻調理師専門学校で学びました。東京へ戻ってからは日本橋「割烹とよた」、帝国ホテル「なだ万」等で修業し、平成9年に「おさき」を開業。平成17年に店名を「小料理 にしくら」としました。店では私自身が好きなメニューを出しています。中華の場合はこだわりませんが、和食はやはり、どんな塩を使うかが大切になります。

- 店で使う塩について教えてください。

西倉 開業時はモンゴルとかドイツなど外国の塩で、良質な塩を使っていました。和食の場合は焼き物、煮物とか椀物など、メニューによって相性の良い塩を選び、そのまま使っていましたね。メニューと相性の良い塩を仕入れて、そのまま使用していました。
 
- 現在もそうした塩の使い方ですか。

西倉 これまで勉強させてもらってきた経験を生かし、「だし塩」を作っています。10年ほど前、串物用にもっと合う塩はないか探している時に本を読んで作りました。作ってみると串物だけでなく和食系の料理には悉く合う。以降、和食メニューはすべて「だし塩」にかえました。
 
- どうやって作るのですか。

西倉 何度か失敗を重ねたのですが、市販の「伯方の塩」をベースに、だしを加えて煮詰めています。

伯方の塩
伯方の塩

- 「伯方の塩」を選択した理由は。

西倉 試行錯誤した結果ですね。まず馴染みがあるブランドであり、安定して購入できること。また、コスト面でも優れています。小さな店ですので「だし塩」は年3回ほど、1回で2kgの「だし塩」を作ります。
 
- だしは何で取っていますか。

西倉 だしについては企業秘密です(笑)。
 
- 世の中の減塩の風潮についてどう感じますか。

西倉 お客さまの健康は大事なことですし、健康増進法の中でも減塩が毎年謳われているのは知っています。ただ大切なことは、減塩した料理を提供するよりも、まず美味しくなければいけません。意図的に変えるわけではありません。

ひょっとすると私が作る料理も、この30年間でお客さまの嗜好に合わせ塩分が減っているのかもしれません。しかし、意識して減らすわけではない。塩は人間にとって生命を維持するために不可欠な調味料ですが、料理の場合は「味を決める」のに必ず必要な調味料ですから。