ワタミ 自前でデリバリー事業化 コロナ禍で需要拡大、渡邉美樹社長が意欲

ワタミは自社のデリバリー戦略として「ワタミデリバリー」を立ち上げ、7月1日から順次事業を開始する。

「ワタミデリバリー」は同社が展開する「から揚げの天才」と「bb.qオリーブチキンカフェ」の2業態で実施するもので、外部のサービスは使わず自前でデリバリー事業を運営する。「から揚げの天才」大鳥居店と「bb.qオリーブチキンカフェ」大鳥居店を皮切りに、対象店舗を拡大する計画。「から揚げの天才」は中食需要の高まりを受け店舗展開が加速し、FC展開も本格化しているが、7月末までに30店舗、今年度中には100店舗の出店を予定している。

「ワタミデリバリー」ではデリバリー手数料を1千500円までの注文で350円、1千501~3千円で200円、3千1円以上は無料という3段階で設定。外部の事業者を活用するデリバリーサービスよりも大幅に価格を抑えサービスを提供することを売りとしている。また自社でデリバリー事業を賄うことで、店舗側が手数料を支払う必要もなくなることから、FC展開を図る「から揚げの天才」では加盟店側もメリットを享受できる仕組みだ。

ファストカジュアルに軸足をシフト(ワタミ)
ファストカジュアルに軸足をシフト(ワタミ)

コロナ禍の現在、「から揚げの天才」のテイクアウト比率は90%。デリバリーは平均すると2割を超え、さらに拡大する見通しだという。「bb.qオリーブチキンカフェ」は、外部の宅配サービスを活用したデリバリーでは3月以降の売上げの伸びが高く、5月のデリバリー売上高は3月までの月間売上げの2倍を記録するなど急成長している。

渡邉美樹社長は「外部のサービスに頼った形ではデリバリーの売上規模が3割を超えると収益を圧迫することになる。ここにきて、1店舗でデリバリーが月商500万円を超える見通しが立った。自社で配達することが大きな武器で、これは過去に『お好美壱番KEI太』で宅配を展開してきた当社だからできること。当時のノウハウを活用しており、どの企業と比べても最安値だ」と自信のほどを語る。

デリバリー(ワタミデリバリー)に出発するテリー伊藤さん
デリバリー(ワタミデリバリー)に出発するテリー伊藤さん

一方、「居酒屋市場は縮小するだろう。引き続き祖業として手掛けていくが、今後伸びる市場はファミリー、デリバリー、テイクアウト。当社ではこの分野をカバーし攻める。これからのワタミはファストカジュアルを主体とした、これまでと違う会社に生まれ変わる」と意欲をみせた。

「から揚げの天才」でこだわりの玉子焼きを監修するテリー伊藤さんは「から揚げの天才は1個99円と安さが魅力。デリバリーにより値段が高くなることについては、消費者の疑問の声もあっただろう。自社で配達まで手掛けて価格を抑えたのは素晴らしいこと。外出に苦労する高齢者や、自宅で食を楽しみたい人が増えていることから、今後はデリバリーが主流になると思う」と笑顔をみせた。