カレー粉のパイオニア 生産体制を強化 ハチ食品・高橋慎一社長

ハチ食品は江戸時代に薬種問屋として創業した老舗企業。20世紀初めに日本で初めてカレー粉を製造した企業としても知られている。6月19日に新社長に高橋慎一氏が就任した。少子化や家庭での調理機会減少を背景に、カレー市場では売上金額でレトルトがルウを逆転した。ハチ食品もレトルト食品を中心に売上げが順調に拡大している。

同社のレトルトカレーはディスカウントやドラッグ、百円均一など比較的低価格のチャネルに強くシェアが高い。高橋社長も自社の強みを「低価格でも満足できる味と品質を実現する、開発から製造・販売までのローコストオペレーション」にあると語る。

しかし、近年は大手NBもドラッグやディスカウントなどのチャネルに対応した商品を強化している。また、カレー同様に好調なレトルトパスタソースでも、同社は低価格帯でシェアは高いが、今後競合が激化することは容易に想像される。

「守るだけでは売上げは下がる一方。従来とは違うルートやチャネルを常に開拓する意識が重要」と話す。

ハチ食品の課題については「生産供給体制の強化」と語る。長きにわたり出荷量の拡大が続いており、各工場の製造能力は限界に近付いている。一昨年の水害では協力工場が被害を受け、一部商品の製造ができなくなった。今後、成長を続けるためには有事にも安定的に商品を供給できる体制を確立することが求められる。9月には駒ヶ根工場の増設が完成する。製造ライン自体の増設ではないが、製品倉庫、原料倉庫、前処理施設を強化することで生産性向上を図る。まだ計画段階だが、レトルトラインの増設も検討している。

コロナ禍によりレトルトカレー、レトルトパスタソースの市場規模が拡大した。「売上げの3割を占める業務用が厳しかった。家庭用でも3~5月は増大する受注にお応えできないことも多く、物流費もかさみ利益面では厳しい部分もあった。しかし、初めてハチ食品の商品を利用した消費者も多く、ハチ食品の商品を知ってもらう機会となったのでは」と話す。

地元関西では知名度がありカバー率も高いが、首都圏など他のエリアでは定番での採用は低くハチブランドの浸透は十分ではない。今後は東日本でもシェアを高めたいと考えており「日本で初めてカレー粉を作ったメーカーとして、スパイスの加工技術を極め商品開発・販売に生かすことで他社との差別化を目指す」方針だ。