日傘とリュックとソーシャルディスタンス

今夏は猛暑予想。“日傘男子デビュー”のキャッチコピーもここ数年はすっかりお馴染みとなってきたが、今年は熱中症予防だけでなく、新しい生活様式における「ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つのに最適」との謳い文句が踊る。

▼朝夕の通勤風景や日中の人出も、緊急事態宣言の解除を受けて、徐々に従前の様相を取り戻してきた。筆者の住む地域は首都圏のようなラッシュはないが、その分距離を置いて座ろうとするので、中途半端に隙間ができる。空いているスペースに座ろうとすると、噛みつくような視線を向ける人を時折見る。

▼また、マナー啓発運動の成果で一時期は減っていた、大きなリュックを背負ったままの姿も増えてきた。背後で窮屈な思いをしている人がいても我関せずで、「これでソーシャルディスタンスを取っているんです」と言わんばかり。

▼大義名分を得た彼らは、そんな方向違いの理論を盾にする。ただ、それに強い苛立ちを覚える自分にもハッとした。これではまるで「自粛警察」と同じではないか。コロナ禍の疲れが、知らぬ間に心に暗い影を落としていたようだ。