4月家計、健康食品2割増 ウイルス対策、ダイエット系がけん引 特需の一方、新企画に遅れも

踊り場が続いていた健康食品市場が息を吹き返している。新型コロナウイルスの感染拡大で消費者の予防意識が高まったためだ。5日発表の総務省家計調査報告によると、4月の2人以上世帯の全消費支出は前年比で11%減少したにもかかわらず、健食に関しては1千214円で22.5%増加した。伸び率は乳製品や調味料、酒類とほぼ同等だった。好調ぶりを見せる市場だが、ウイルス対策やダイエット関連などの商品を販売する事業者が特需に湧く一方、一部の企業からは「原料の配送遅延」「新製品企画の遅れ」などから当初の販売計画を下回るという嘆きも聞こえてくる。

家計調査報告によると、1月の健食支出額は7.8%減と低調に終わったものの、2月は7.1%増、3月は6.1%増、緊急事態宣言が発令された4月には20%を超える異例の伸びを見せた。4月に関しては特にシニア層を中心に構成される無職世帯の伸びが顕著だった。

健食の販路の4割以上を占めるとされる通信販売でも4月売上げは9.9%の伸びを記録(日本通信販売協会調べ)。一方、経産省発表の商業動態統計(速報)によると4月のドラッグストアの健食販売額は4.3%減の170億7千200万円となったことから、外出自粛を契機に通販へのシフトが一層進んだようにもうかがえる。

大手健食受託製造業の担当者は「3月の売上げは過去最大の伸び率で、4月もそれを更新した。乳酸菌とプロポリスが牽引している」と好調の要因を語る。

ファンケルの調査によると、4月に通販で売上げが上昇した自社のサプリメントは「ビタミンD」「飲酒対策」「プロポリス」「女性用」「ビタミンC」「ダイエット関連」など。必須栄養素を補給してウイルス感染を予防したいというニーズや、在宅時間が増えることで食べすぎや飲みすぎをケアしたいという消費者の要望を反映した。

一部では特需とも言える盛り上がりを見せる市場の様相だが、すべての事業者が恩恵を享受しているとは言い難い。スポーツニュートリションや美容などコロナウイルス関連以外を手掛ける企業からは苦悩の声も。

美容関連の健食販社では「輸入原料の配送遅延が生産計画に影響をきたしている。スタッフは輪番制で出社しており必ずしも対応が十分とは言えないが、新規の注文も落ち込んでいる」と悩みを明かす。素材メーカーでは「リピート需要が大半。新規の商談数は減っている。年初に製品化された案件は昨年から進めていたものなので、新製品企画が減った6月以降の売上げは厳しさが予想される」と今後に警戒を強める。

新型コロナウイルスの感染拡大で需要が増えた素材や成分については、消費者庁が「新型コロナウイルスの予防にはならない」と周知。広告表示や販売方法をめぐり事業者に対する監視指導や消費者への注意喚起を強めている。市場の先行きは不透明で、必ずしも現状を手放しで喜べないというのが実情のようだ。