紅茶飲料 飲用シーンが拡大 「午後の紅茶」に拍車かける「クラフトボス」 19年生産量は過去最高

紅茶飲料の飲用シーンが拡大し、昨年の紅茶飲料の生産量は2010年を上回り過去最高を記録した。

紅茶飲料市場は30年以上にわたりキリンビバレッジの「午後の紅茶」が牽引。1986年、缶入り紅茶しか存在しなかった紅茶飲料市場に、日本初のペットボトル(PET)入りの「午後の紅茶」が発売され、市場は徐々に拡大していった。

数ある飲料ブランドの中でも「午後の紅茶」のブランド認知率は断トツだが、1日に何回もある英国のティータイムの中で最も社交的で優雅なお茶会と言われるアフタヌーンティーをそのまま日本語にしたブランド名が、午後の飲用を根付かせた半面、このことが市場拡大に当たっては長らく足かせになっていた。

市場を拡大させるには、飲用シーンを午後以外に広げて新たな飲用層を獲得する必要があり、その方策の一つとして出されたのが無糖へのアプローチとなる。

この分野のパイオニアは大塚食品の無糖紅茶「シンビーノ ジャワティストレート」で、1989年にティータイムの嗜好飲料ではなく食事に合うテーブルドリンクとして発売された。

2011年には「午後の紅茶」からも飲用シーンを選ばずいつでも楽しめる無糖紅茶「おいしい無糖」を発売し、おにぎりやカレーなど食との提案を展開している。

昨年、この流れに拍車をかけたのがサントリー食品インターナショナルの「クラフトボス」の紅茶シリーズで、飲用シーンを平日のオンタイム時(勤務中)に設定した点で新たな動きとなった。

仕事中のリフレッシュニーズに対応すべく、高濃度に香りを抽出してキレを高めながら紅茶の渋みを低減させたのが無糖紅茶の「クラフトボス TEAノンシュガー」で、これに続くものとして「クラフトボス ミルクTEA」が発売された。

一方、「午後の紅茶」も昨年、「ザ・マイスターズ ミルクティー」を発売し、微糖のアプローチを新たに展開。年を重ねるとともに甘さが気になり紅茶飲料から離反してしまった層の獲得を図った。

無糖・微糖の動きに加えて昨年、フルーツティーで新風を吹き込んだのは伊藤園の「TEA’sTEA NEW AUTHENTIC 生オレンジティー」。

通常、果実感を打ち出そうとして果汁の使用量を多めにすると、果汁の酸味を和らげるため砂糖の使用量も多めになりがちになるが、同商品はこれを克服。果汁をブレンドしただけではなく、生果と一緒に紅茶を抽出することで果汁の使用量を減らしながらも果実感とカロリー低減を実現した。

「TEA’sTEA NEW AUTHENTIC」では今後、生シリーズとラテの2本柱で展開していく構えで、生シリーズは「生オレンジティー」「生アップルティー」に続く新商品の投入を予定している。

同じくフルーツティーで、100%果汁と蜂蜜を加えて自然な甘みを追求しているコカ・コーラシステムの「紅茶花伝クラフティー」シリーズでは、「贅沢しぼりオレンジティー」と「贅沢しぼりピーチティー」の中味とパッケージに磨きをかけて3月9日から発売している。

紅茶飲料市場の推移(全国清涼連合会「清涼飲料水生産量及び生産者販売金額」より)
紅茶飲料市場の推移(全国清涼連合会「清涼飲料水生産量及び生産者販売金額」より)

昨年ヒットした「午後の紅茶」と「クラフトボス」も引き続き飲用シーンと飲用層拡大に向けた取り組みを強化する。

「午後の紅茶」は「圧倒的に飲用者を増やす必要がある。リピートよりもトライアルをどんどん獲得していかないといけない」(キリンビバレッジの加藤麻里子マーケティング本部マーケティング部ブランド担当部長代理)との考えの下、紅茶飲料市場の約3倍の規模を持つコーヒー飲料市場に倣い有糖・微糖・無糖のサブカテゴリーをつくることに重きを置く。

今年最初に着手したのが微糖で、3月17日に「ザ・マイスターズ ミルクティー」の茶葉感をアップしてリニューアル発売するとともに微糖の新フレーバーとして「ザ・マイスターズ オレンジティー」を新発売。

対する「クラフトボス」は、今年も既存カテゴリーを超えた提案を行うべく、4月21日に「クラフトボス レモンティー」を新発売する。

2月、都内で発表した柳井慎一郎常務執行役員食品事業本部ブランド開発事業部長は「テーマは“さよなら、いままでのレモンティー”。既存の紅茶カテゴリーの不満を解消して紅茶飲料のニューウェーブを確立していきたい」と意欲をのぞかせた。

同商品は、既存レモンティーの“甘さが目立つ”といった不満点に着目して開発。「透きとおる、すっきりとした甘さを目指して開発した。具体的には紅茶の渋み成分をできるだけ極小化した。その上で華やかな香りを贅沢に抽出した紅茶にシチリア産有機レモンを合わせた」という。

全国清涼飲料連合会の「2019年清涼飲料水生産量及び生産者販売金額」によると、19年の紅茶飲料市場は生産量が前年比14.6%増の119万8千600㎘、生産者販売金額が15.2%増の2千274億5千100万円。生産量は10年を上回り過去最高となったが、販売金額は10年の2千475億5千300万円には届かなかった。