存在感増す豆乳ヨーグルト 健康と環境で脚光 ポッカサッポロとマルサンアイが牽引

健康志向と環境配慮の高まりから、豆乳ヨーグルト(はっ酵豆乳食品)の存在感が増している。

豆乳ヨーグルトとは、豆乳を乳酸菌で発酵させてつくられる植物性ヨーグルトのことで、一般的に大豆たんぱく質や大豆イソフラボンが摂取できるほか、コレステロールゼロでヨーグルトに比べて低カロリーで低糖質の設計が特徴となっている。また、乳製品を使用していないことから乳アレルギーの人にも適している。

主に健康志向の強い女性層に支持され、最近ではSDGs機運の高まりも追い風になっている。

タンパク源のひとつである牛肉を1kg作るには大豆など穀物を10kg使用すると言われており、同じ量の牛肉に対し大豆を生産する時に必要な水の割合は50分の1に、エネルギーは20分の1に節約できるというデータもある。

豆乳ヨーグルト市場は、富士経済の調べによると、14年から5年連続で伸長。このうち、過半のシェア(18年実績シェア55.8%、出典:富士経済)を握るのはポッカサッポロフード&ビバレッジで、同社の前期(19年1~12月)豆乳ヨーグルト事業は、積極的な店頭・マーケティング活動で6月頃から売場が拡大したことが奏功して前年比33%増の18億円となった。

植物性ヨーグルト(豆乳ヨーグルト)市場 出典:富士経済
植物性ヨーグルト(豆乳ヨーグルト)市場 出典:富士経済

二番手はマルサンアイで、昨年(19年1~12月)の実績は19%増の9億1千800万円へと拡大した。

この実績について、マルサンアイは「シニアやスポーツをされる方を中心に植物性たんぱく質や大豆イソフラボンなど健康面への注目が高まっている。これに加えてSDGsなど地球環境配慮の機運も高まる中、商品認知と店頭カバー率が上昇してご愛用者が増えたのが要因」(開発統括部・マーケティング室)とみている。

豆乳ヨーグルトは、これまでスーパー、量販店ではヨーグルト売場の片隅に並べられているのが通例であったが、ポッカサッポロとマルサンアイの積極的なマーケティング活動によって豆乳ヨーグルト専用のコーナーが設けられるなど流通も強化の姿勢を見せ始めている。

「ソイビオ 豆乳ヨーグルトプレーン無糖400gカップ」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
「ソイビオ 豆乳ヨーグルトプレーン無糖400gカップ」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

さらなる拡大に向けた課題は、カテゴリーの周知徹底とトライアルの獲得にある。

“豆乳ヨーグルトを知らない”
“どんな味がするかイメージできない(おいしくなさそう)”
“どのような効果があるのかわからない”

このトライアルされない3つの理由に向き合うべく、ポッカサッポロは旗艦商品の「SOYBIO(ソイビオ)豆乳ヨーグルトプレーン無糖400gカップ」のパッケージを刷新して3月23日から発売している。

「『どのようにしてつくられているのか』という問いには、豆乳を発酵させた豆乳ヨーグルトであることをしっかり訴求していく」(大豆・チルド事業本部事業戦略部)との考えの下、パッケージには『豆乳』の文字を大きくあしらうとともに、「豆乳ヨーグルト」を一体で見せるようにした。

味わいについては、クセと酸味がないまろやかな味であることを明記し、物性価値としては「吸収しやすいイソフラボン」のアテンションを大きくデザインして訴求強化した。

メーンユーザーとなる健康志向の強い女性層は、原材料への関心も高いことから裏面に食物繊維がイヌリンであることや4種の乳酸菌も記載。乳製品不使用の表記も大きくした。

「豆乳グルト プレーン400g」(マルサンアイ)
「豆乳グルト プレーン400g」(マルサンアイ)

ドリンクタイプの「SOYBIO豆乳ヨーグルト180gストロー付きカップ」も成分訴求を強めたパッケージに変更したほか、とろみを抑えてスッキリさせた中味にして3月30日に発売を開始した。

主にコンビニでの販売増を狙い、希望小売価格を10円値下げして税抜き140円とした。400gカップは従来通り税抜き250円。

小型容器でトクホの「ソヤファーム豆乳で作ったヨーグルト」シリーズは微増で推移していたところ、昨秋にヘビーユーザーである50~60代の喫食頻度を上げるべくフルーツフレーバーの導入強化を図ったことに加えて、テレビ番組で取り上げられたことによって、二ケタ増で推移している。

対する、マルサンアイは、「豆乳グルト プレーン400g」の発売10周年(2010年発売開始)を記念して抽選で総勢1千人に当たる「豆乳グルト10周年ありがとうキャンペーン」を全国で実施する。

これに伴い5月上旬頃の出荷分から「豆乳グルト」を10周年限定パッケージに順次切り替えて販売する。

同商品の直近1~3月の出荷量は14%増となり「19年末頃からメディアでの露出が増えていることも要因と考えている」(開発統括部・マーケティング室)。

18年から販売している「国産大豆の豆乳使用豆乳グルト400g」も配荷が拡大。「豆乳ヨーグルト商品でも国産大豆の豆乳を使用して作った付加価値と味が浸透してきていると考えている」。

「大豆で作ったヨーグルト400g」(フジッコ)
「大豆で作ったヨーグルト400g」(フジッコ)

今後については「需要増大にも耐えうるよう生産量を増やすことを第一に考えていく。品質面では研究を重ねてさらなる付加価値やエビデンスを提供していけるように努力していく」方針だ。

新規参入も今後増えそうだ。フジッコは同社初の乳成分不使用の植物性ヨーグルトとして「大豆で作ったヨーグルト400g」を3月1日に新発売した。

同社は、多様化する消費者ニーズに合わせて、大豆をより手軽に摂取できる大豆素材のヨーグルトを開発。大豆研究の歴史と「カスピ海ヨーグルト」シリーズで培った乳酸菌発酵技術を掛け合わせて6年かけて商品化に漕ぎ着けたという。