徳之島コーヒー 島民の信用獲得へフリーペーパー発刊

クリエイティブでの貢献に意欲 モスク・クリエイションの近藤恵一代表

東京に本社を構えるデザイン会社のモスク・クリエイションの近藤恵一代表は月1回のペースで奄美群島の徳之島を訪れ、一度訪れると少なくとも1週間は滞在して徳之島の魅力発掘と島民との関係構築に精を出しているという。

「とにかく南の島が大好きで、3年くらい前から南の島で穏やかにゆっくりと仕事をしたい気持ちが芽生え、本気で支社の候補地を探していた」(近藤代表)と振り返る。

近藤恵一代表(モスク・クリエイション)
近藤恵一代表(モスク・クリエイション)

沖縄県内の離島、与論島、沖永良部島へと候補地探しで北上し、狙いを定めたのが徳之島。

その頃、軌を一にして徳之島南端にある伊仙町では町役場がサテライトオフィスを募集していた。

これに着目して伊仙町役場に問い合わせたところお試しで1週間の滞在を勧められたという。

これまで徳之島を訪れたことのなかった近藤代表。17年末に伊仙町役場を初めて訪れ事業内容などを紹介したところ「その場でパンフレット制作のお仕事をいただき、その日からカメラ片手の取材にとりかかった」と述べる。

手掛けたパンフレットは、伊仙町役場の刊行物で定住・移住を推奨する内容で、その最初の取材対象者が徳之島コーヒー生産者会の吉玉誠一代表だった。

モスク・クリエイションが手掛けた伊仙町役場のパンフレット
モスク・クリエイションが手掛けた伊仙町役場のパンフレット

「親切でとても魅力的なお人柄で1時間の取材予定だったのが、気がつけば半日もお付き合いくださっていた。勝手に“徳之島のお父さん”と呼ばせていただいている」。コーヒーが栽培されていることは初耳だったという。

「大好きなコーヒーが国内で生産されているなんて夢みたいな話で、当社でお手伝いできることがあれば絶対にやりたいと密着しているところ」と意欲をのぞかせる。

18年9月1日に伊仙町オフィス(徳之島ベース)を開設し、伊仙町役場のほかにも徳之島観光連盟や病院などからデザイン関係の仕事が舞い込んでいる。

幸い伊仙町は通信インフラが整っていたため、伊仙町オフィスは本社(TOKYOベース)、静岡支社(富士山ベース)と常時接続によるビデオ通信で密に連携しながら機能している。

海と山の自然の驚異的なパワーとともに、遺跡、地質学的にも見所がたくさんある徳之島
海と山の自然の驚異的なパワーとともに、遺跡、地質学的にも見所がたくさんある徳之島

近藤代表が最終的に徳之島で実現したいのは、島の人たちと一緒に島のブランディング、地場農作物の六次産業化をすること。

ただし最初から直球勝負は困難と判断。「東京からやって来て、いきなりブランディングや島おこしやりますと言っても誰も耳を傾けてくれない。まずはわれわれが強みとするデザインで島の人たちに喜んでもらえるものは何かを考えた」。

試行錯誤の結果、たどり着いたのがフリーペーパー。19年4月に創刊号を発刊した。

その狙いについては「われわれのことを認知してもらうことと徳之島文化の周知の2つを目的に創刊した。これで儲けようとは思っていないが、メディアを立ち上げたからには四半期(4月・7月・11月・1月の末日)ごとの発刊を堅持し、真面目にモノをつくっている姿をできるだけ短時間で認知していただけるようにする」と説明する。

犬田布岬入り口のカフェ「珈琲スマイル」で提供される徳之島コーヒー
犬田布岬入り口のカフェ「珈琲スマイル」で提供される徳之島コーヒー