こんな時代だからこそ「ファイア」 ブランドの社会的意義とは 担当者に聞く

キリンビバレッジのコーヒーブランド「ファイア」が誕生した1999年は、バブル崩壊後で景気が急速に悪化し始め、企業の倒産や人員削減による失業が顕著になった時代であった。

そうした中で「ファイア」は、「長い停滞の中の日本人の心に火を灯す楽曲を書いて欲しい」という想いに共感したスティービー・ワンダー氏がCMソングを手掛けて一世風靡した。

今年、この原点回帰を含めてキリンビバレッジが新たに定めた「ファイア」のブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)は「チカラが欲しい時、お客様に前に進む勇気を与える」。

「これまでもこのような想いを持って活動していたが、きちんと明文化・定義することでさらに浸透させていく。コーヒーにはリラックスシーンもあるが、『ファイア』では仕事のシーンで前向きに頑張る気持ちにさせていきたい」と増田健志マーケティング部ブランド担当ブランドマネージャーは語る。

増田健志マネージャー(キリンビバレッジ)
増田健志マネージャー(キリンビバレッジ)

ブランド・パーパスをより分かりやすく伝えるのが「働くってよろこびだ」というブランド・ステートメント。

「働くことでお客さまに喜んでもらえることがうれしいという価値観を持った人に寄り添えるブランドにしていく」。

この考えの下、仕事中に突出して飲まれているペットボトル(PET)コーヒー「ファイア ワンデイブラック」を4月14日にリニューアル発売する。

同商品は、ブラジル産コーヒー豆を100%使用した無糖のブラックコーヒーで、コーヒーの嗜好性と止渇性のベストバランスを追求して昨年開発された。

容量はチビダラ飲み需要に応える600㎖の大容量ボトル。時間をかけて飲まれることを想定し、常温での味わいを追求した点も特徴で「最初に飲んだ瞬間においしく思ってもらい、それが最後までしっかり続く印象を持ってもらうことで「また買いたい」と思ってもらえる商品を目指した」。

このような味覚設計に加えて、銀色を前面に押し出しスタイリッシュなデザインのパッケージも受け入れられたことで、昨年4月の発売から11か月で8千万本(約333万ケース)の販売数量を突破した。

「リピート率が46%と過去2年間に発売されたブラックのPETコーヒーにおける平均リピート率と比べて高い値で、競合商品を含め従来のPETコーヒーとは異なる層を獲得している。特に仕事中のオンタイムに選択されている」傾向にあるという。

今回のリニューアルでは、さらなる商品認知と新規ユーザーを獲得すべく、パッケージを中心に磨きをかけた。「認知がまだ低く、トライアルを増やすための間口拡大が一番の課題となる。パッケージは、ブランドと商品名が一体となって識別されるようにデザインし、味わいはコーヒーの香ばしさを若干アップさせた」。

コミュニケーションは「ブランドを訴求しながら個々の商品を伝えていくやり方に変更した」とし、4月からブランド・パーパスを伝える内容で展開していく。