ネスレ日本退職の高岡氏 新境地でコンサル業展開 デジタル活用し課題解決

食品業界の名物社長が退職する。ネスレ日本の高岡浩三社長。ことあるごとに食品業界や流通業界でも高岡氏の名前を挙げる人が多かったが、社長歴10年を経て退職し、4月以降は数年前に設立した「ケイ アンド カンパニー」でマーケティングのコンサルティング事業を行う。なお、ネスレ日本の後任社長には深谷龍彦常務執行役員飲料事業本部長が就任する。

顧客が抱え、顧客が認識していない問題を探り、解決すること…。戦略発表会で高岡氏は、常にこのマーケティングの基本を唱えてきた。その象徴的な取り組みの一つが、オフィス向けの「ネスカフェ アンバサダー」だろう。アンバサダーに登録すると無償でコーヒーマシンをオフィスに設置し、カプセルまたはカートリッジを定期購入するシステムで、マシンが家庭以外の場所でも問題解決に使えないかという発想から生まれ、今ではネスレを支える貴重なビジネスモデルになっている。

社長歴10年は決して長くはなく、「日本企業の誘いや社外取締役の話もいただいた」。だが、今後は数年前に設立した「ケイ アンド カンパニー」でマーケティングのコンサルティング事業を始める。「多くの日本企業が果たし得なかったデジタルトランスフォーメーションを通して、いろいろな業界や企業に役立つような仕事ができないのかなと、ここ数年準備をしてきた」と同氏。この話になると途端に熱が入る。

デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術を活用し顧客の問題を解決するためのサービスやビジネスモデルの改革を指すが、「日本企業の最大の負け要因はこの一言に尽きる」と断言する高岡氏は、「インターネットの力でビジネスをより効率化し、今のビジネスモデルを変えることが大事で、これを食品業界以外で生かす」と言う。

例に挙げたのが、業界最大手の子役マネージメント会社のテアトルアカデミーだ。「この会社は、子どものマネージメント会社というよりも、収入のほとんどは子役のお母さんで、母親は年会費27、28万円払って、自分の子どもをテレビに出してもらいたいと考えている」。NHKの大河ドラマの子役や「おかあさんといっしょ」の子役はすべてテアトルアカデミー出身だと言う。

ところが少子化で子どもが減り、お母さんが喜ぶ番組もなくなりつつある。そこで「ここの問題はスマホで解決できるとコンサルテーション(プロデュース)した」。キャスティングやオーディションは、会場に集めてするのは古い。スマホで写真やビデオを撮り、それをAIで集めればオーディションなしでできる。「その結果、サイバーエージェントは、アベマTVで子どもの番組を開始。次はそこに子ども向けCMの新規スポンサーがついた。」。

「広告代理店業は、広告によってクライアントの問題解決はできない。それにはデジタルによるコンサルテーションが必要だが、マーケティング力がないのでそれができない。そういう依頼があまりにも多い」と同氏。「コンサル業もパワーポイントで資料をつくる時代ではなく、口頭で十分で、コンサルも20世紀から21世紀型にすべきだ」と語っている。