ネスレ日本トップ交代 高岡社長「否定できる」が決め手の1つ 深谷次期社長「改善すべきは改善」

ネスレ日本は4月1日付で深谷龍彦常務執行役員飲料事業本部長が代表取締役社長兼CEOに就任し、高岡浩三代表取締役社長兼CEOが定年退職する社長交代人事を発表した。

後継者選びは、ネスレ本社(スイス)の承認で最終決定されたが、これには高岡社長をはじめとする役員の推薦が加味された。

10日、都内で開催された事業戦略発表会で高岡社長は推薦の決め手について、社内からの人望や社内改革への積極姿勢、「ネスカフェ」立て直しの功績を挙げ、素質については「私のやってきたことを否定できるというのは最低条件の一つ。日々の仕事の中でちゃんと私に“そうではない”と言うことができる。だからこそ私はネスレ日本には絶対に残らない」と語った。

高岡社長は2010年の社長就任以来、「ネスカフェ アンバサダー」など数々のイノベーションを起こしてきたことで知られるが、人事制度や企業年金制度など社内改革にも大鉈を振るった。

数々のイノベーションの中で高岡社長が「一番気に入っている」のが、社内改革の一つである“イノベーションアワード”の創出。イノベーションアワードとは、全社員にその権利を与え、社員に顧客の問題発見とその解決につながるオリジナルのアイデアを考えてもらい実際に業務上で実行したことを提出する企画で、これによりイノベーション気質の企業風土を醸成していった。

「社内のトレーニングをすべて止めて、イノベーションアワードに集約し、一般社員からトップマネジメントに至るまで顧客の問題発見につとめ、最終的に何度か小さいテストを繰り返しながら顧客の問題解決を生み出していく方程式に全社で取り組み、その結果を出せたことは世界的でも類をみないと思っている」と振り返った。

その結果を象徴するのが「キットカット」のプレミアム戦略である「キットカット ショコラトリー」で、今では日本での成功に加えグローバルで水平展開されるまで発展している。

役員の中でこのイノベーションアワードに積極的に取り組んだのが深谷次期社長であり「飲料事業本部の中でアワードを勝ち得る人材を一生懸命教育しているところも一つの大きなポイントとなった」という。

同席した深谷次期社長も、社員の働きやすさや生産性向上につながる社内改革を引き続き行っていく考えを明らかにするとともに、これまでのビジネスモデルを臆することなく見直していく姿勢を示した。

「成功したビジネスモデルは短くて5年で古くさくなり、廃れるまでのスパンは今後もっと短くなると思っている。つくってきたものをそのまま継続するのではなく、改善すべきは改善し、ネスレ日本を次のステージにもっていきたい」と意欲をのぞかせた。

商品の方向性としては、安全・おいしさ・健康を大前提に、環境と付加価値を加味していくことを強調。「お客さまの問題を解決できるサービスの要素を、おいしくて環境に配慮されている商品に付加していくことを、よりスピーディーに、よりイノベーティブな発想で提供していくことに突き進んでいく」。

環境については、プラスチック削減に加えてプラントベース(植物由来)にも着目。注力領域としては、共働き世帯の増加で需要拡大を見込む外食・オフィスの開拓と、「ネスレ ヘルスサイエンス」「ネスレ ピュリナ ペットケア」による少子高齢化への対応を挙げた。