食品業界にレモン旋風 飲料・嗜好品・調味料などから商品続々 背景にストレス解消・健康志向・メニューの広がり

健康情報の発信とレモネードなどメニューの広がりでレモンをコンセプトにした商品が拡大している。

ストレス解消ニーズやリフレッシュニーズでレモンの酸味や香りが好まれていることと、健康意識の高まりで糖や脂肪が避けられる傾向にあることなどが拡大の背景とみられる。

富士経済によると「ポッカレモン100」など市販用レモン果汁市場は19年に70億円を突破したと見込んでいる。その他、業務用レモン果汁市場やレモン果汁を使った清涼飲料水や酒類も拡大傾向にある。

レモンの主な健康成分はクエン酸、ビタミンC、ポリフェノール、リモネン。

レモンに含まれるクエン酸は、酸っぱさで爽快感を与えるほか、カルシウムなどのミネラルを溶けやすくし、また、塩味をひきたてるため料理に活用すれば減塩につながりうる。

市販用レモン果汁市場 出典:富士経済
市販用レモン果汁市場 出典:富士経済

ポリフェノールに関してはメタボ予防に関する研究が進められ、リモネンはリラックス効果が期待される。

「食シーンの拡大とレモンが持つ力を軸としたコト発信でレモンを摂取する意味をご理解いただき生活に取り入れてもらうことでレモンの総需要を拡大していく」と意欲をのぞかせるのはポッカサッポロフード&ビバレッジの平手元広レモン事業部長。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは市販用レモン果汁85%、業務用レモン果汁で70%のシェアを握り、昨年は「ポッカレモン100」とレモン飲料の「キレートレモン」が過去最高の出荷量を記録した。

「冷凍ポッカレモン そのまま使えるカットレモン」
「冷凍ポッカレモン そのまま使えるカットレモン」

今年、同社が新たな需要を創出すべく開発したのがフレッシュなレモンを皮ごとそのまま急速冷凍した冷凍カットレモン「冷凍ポッカレモン そのまま使えるカットレモン」。

これは、冷凍のため氷代わりにもなりレモネードやレモンサワーに好適なほか、肉料理をさっぱりさせ、凍ったままの皮をすりおろしてスイーツの風味を豊かにすることができる一品で2月24日から関東1都6県で先行発売している。

同社の飲料では、健康感訴求ブランドの「キレートレモン」と嗜好・情緒訴求ブランドの「LEMON MADE」を柱に展開していく。

この中で3月30日に発売開始される新商品「キレートレモン ダブル」は、レモン2個分の果汁(レモン果汁15%・約60ml)に加えてビタミンC1000mgとクエン酸3000mgを含んだ炭酸飲料で「全般的にレモンを摂取する機会が増えてきたことで、レモンの酸っぱさも許容されるようになったと感じる」(飲料事業部の小川東吾氏)ことから開発された。

これに対し、炭酸飲料の強化を全社方針に掲げるアサヒ飲料は、レモンを皮ごとすり潰してつくった果汁で仕上げたレモネードにピンクグレープフルーツを加えた「三ツ矢 ピンクレモネード」とレモン&ライムフレーバーの「三ツ矢サイダー レモラ」を新発売した。

左から「キレートレモン ダブル」「LEMON MADEオリジナルレモネード」「三ツ矢 ピンクレモネード」「三ツ矢サイダー レモラ」「サントリー天然水 スパークリングレモン」「サントリー天然水Clearレモン」「クラフトボス レモンティー」
左から「キレートレモン ダブル」「LEMON MADEオリジナルレモネード」「三ツ矢 ピンクレモネード」「三ツ矢サイダー レモラ」「サントリー天然水 スパークリングレモン」「サントリー天然水Clearレモン」「クラフトボス レモンティー」

一方、無糖嗜好飲料のアプローチでレモン飲料に本腰を入れるのはサントリー食品インターナショナル。

「サントリー天然水」の重点商品として3月10日に「同スパークリングレモン」をリニューアル発売し、3月24日に「同Clearレモン」を新発売する。
2品とも“搾りたてのようなおいしさ”をテーマに開発され素材と製法の2つを追求した。

「厳選された産地で採れた有機レモン果汁のみを使用してフレッシュな香りを実現し、その香りを最大化させるために通常の殺菌温度よりも低い温度での殺菌技術を導入した。特に『スパークリングレモン』は当社ブランドの商品の中で最も低い温度で殺菌している」(五十嵐享子ジャパン事業本部ブランド開発事業部部長)という。

同社は有糖の紅茶飲料に向けても「クラフトボス レモンティー」を4月21日に新発売する。

同商品は、既存レモンティーの“甘さが目立つ”といった不満点に着目してすっきりとした甘さに仕立て「紅茶の渋み成分をできるだけ極小化した。その上で華やかな香りを贅沢に抽出した紅茶にシチリア産有機レモンを合わせた」(柳井慎一郎常務執行役員食品事業本部ブランド開発事業部長)ものとなる。

左から「こだわり酒場のレモンサワー」と「こだわり酒場のレモンサワー〈キリッと男前〉」
左から「こだわり酒場のレモンサワー」と「こだわり酒場のレモンサワー〈キリッと男前〉」

酒類でも、唐揚げなどと合わせる食中酒としてレモン果汁・レモンフレーバーの採用が広がっている。店舗独自のメニューが人気を集めるなど業務用から広がっていき、18年頃から缶入りRTD商品も盛り上がりをみせはじめた。家庭用RTD商品に占めるレモンフレーバーの割合は30%台とみられている。

サントリースピリッツによると、19年レモンサワー市場は前年比17%増の2523万ケース(1ケース24本、8・4L換算)と推計。この中でサントリースピリッツが昨年新発売した「こだわり酒場のレモンサワー」ブランドは、料飲店で飲むようなレモンサワーの味わいが受け入れられ当初販売計画を大きく上回る売れ行きとなった。

今年は「こだわり酒場のレモン サワー」(缶)を刷新して1月下旬から順次発売。加えて3月17日から新たに「こだわり酒場のレモンサワー〈キリッと男前〉」を通年販売して同ブランドのファン拡大を図っていく。

「檸檬堂」4品。左から「鬼レモン」「塩レモン」「「定番レモン」「はちみつレモン」
「檸檬堂」4品。左から「鬼レモン」「塩レモン」「「定番レモン」「はちみつレモン」

そのほか「のんある気分」は拡大するレモンRTD市場を背景にレモンを中心にリニューアルを実施し、「-196℃ ストロングゼロ」の「ダブルレモン」はブランドの根幹価値である“レモンまるごと”の魅力を訴求していく。

コカ・コーラシステムは、18年5月から九州限定で発売していたレモンサワー専門ブランド「檸檬堂」4品の販売エリアを昨年10月に全国拡大したところ好調に推移。19年販売数量は190万ケース(1ケース24本)を記録し今年は500万ケースの販売を目指す。

コカ・コーラボトラーズジャパンのコスティン・マンドレア執行役員営業本部長は「『檸檬堂』の利益目標は16億円で、収益の成長の重要な役割も担う」と期待を寄せる。

チューハイ市場 出典:富士経済
チューハイ市場 出典:富士経済

「檸檬堂」は、日本各地の酒場で提供されるおいしいレモンサワーのこだわりに学び、焼酎をおいしく飲む方法として知られる前割り焼酎にヒントを得て、丸ごとすりおろしたレモン果汁とお酒をあらかじめ馴染ませた「前割りレモン製法」を採用し、高いリピート率を記録しているという。

中味設計について日本コカ・コーラの和佐高志最高マーケティング責任者は「『缶でもこれくらいおいしいレモンサワーが飲みたかった』という消費者がたくさんいたのだと思う。消費者が欲しいと思っていたものを、きっちり作り込んで提供できるとそのブランドは圧倒的に支持される」と説明する。

嗜好品でもレモンの採用が広がっている。

左から「日東紅茶 レモネードベース」と「日東紅茶C&レモン」
左から「日東紅茶 レモネードベース」と「日東紅茶C&レモン」

三井農林は、市場にレモネード系商品が出回っていることを受けコンクに商機を見出して希釈タイプ飲料の「日東紅茶 レモネードベース」を2月25日に新発売した。

シチリア産レモン果汁のさわやかな酸味に、はちみつのやさしい甘味を加えた商品で、パッケージでは、レモネードだけでなく、牛乳やトマトジュースと割って楽しむアレンジレシピを紹介している。

初動の販売状況は上々で、既存のレモネードタイプのパウダー商品「日東紅茶C&レモン」も好調に推移しているという。

「<辻利>宇治抹茶入り グリーン レモン ティー」と「ブレンディ スティック 海塩レモンオレ」
「<辻利>宇治抹茶入り グリーン レモン ティー」と「ブレンディ スティック 海塩レモンオレ」

販売好調を受け今年定番化を狙うのは片岡物産の「<辻利>宇治抹茶入り グリーン レモン ティー」。国産緑茶と<辻利>の茶匠厳選の宇治抹茶に瀬戸内レモンと国産はちみつを合わせたパウダー商品で、抹茶とレモンの組み合わせが受け入れられスーパーとECの両方で引き合いが強まっているという。

同商品は、期間限定発売した昨年3-8月には前年同期比で70%増となった。抹茶そのものの味に抵抗を感じやすい外国人にも受け入れられているという。

味の素AGF社は、水族館を訪れる国内外の観光客をターゲットに、爽やかなレモンの風味と海をイメージして海塩を使用した少し塩気のある味わいの「ブレンディ スティック 海塩レモンオレ」を3月16日から全国の水族館限定で新発売する。

左から「黄金の味 さわやか檸檬(レモン)」と「ハウス レモンペースト」
左から「黄金の味 さわやか檸檬(レモン)」と「ハウス レモンペースト」

調味料では、ポッカサッポロフード&ビバレッジがシチリア産レモン果汁にオリーブオイルと塩を組み合わせた「塩とレモンとオリーブオイル」やレモンの果皮・果肉・果汁と塩でつくられた「塩レモンのたれ」を発売している。

エバラ食品工業は「黄金の味」シリーズで32年ぶりとなる新テイスト「黄金の味 さわやか檸檬(レモン)」を2月7日から発売開始しTVCM「黄金の味 レモンは漢字です」篇を放映して訴求している。

同商品は、リンゴ、モモ、ウメにレモン果汁、レモンピール、レモンエキスの3種のレモン原料を加えた、さわやかな風味とさっぱりとした甘みが楽しめるフルーツベースの焼肉のタレ。ニンニク不使用のため、においを気にせず焼肉を楽しめるように仕立てられている。

レモン濃縮果汁を使用したピール入りのさっぱり爽やかな風味が楽しめるレモンペースト調味料を開発したのはハウス食品。2月10日から発売している「ハウス レモンペースト」は食材にのせやすい物性のため、揚げ物にのせても衣が柔らかくならない点がポイントとなっている。