大正時代にコーヒーシロップ キーコーヒー情熱と革新の100年 期間限定カフェでアピール

キーコーヒーは、1920年(大正9年)の創業以来、品質第一主義を貫きながらコーヒーをより身近に感じてもらう活動に取り組んできた。8月24日に創業100周年を迎える今年、100年にわたり先人たちが起こしてきた革新の気概を受け継ぎ次の100年に挑む。

年初に掲げられた100周年記念メッセージ「情熱を世界へ、感動を未来へ。」には、先人から引き継がれた情熱をより幅広い人に伝えていく決意と、コーヒーを初めて飲んだときに感じるおいしさや喜びのようなものを新しい形で伝えていく決意が表されている。キーコーヒーでは今年、この決意をさまざまな形で社内外にアピールしていく。

1月23日、取材に応じた橋本啓佑マーケティング本部市場戦略部市場戦略チームリーダーは「広告やイベントのようなタッチポイントも大切だが、お客さまに寄り添いニーズに細かく対応していくために社員から直接メッセージを伝導していきたい」と語る。

顧客へのアピールには、社歴が浅い社員にも100年の歩みを理解してもらうことが先決と考え、5年前に100周年プロジェクトを立ち上げて各部署で社内啓発と企画立案を進めてきた。

橋本啓佑チームリーダー(キーコーヒー)
橋本啓佑チームリーダー(キーコーヒー)

この中で市場戦略チームが担うのは、キーコーヒーブランドの浸透。「キーコーヒーのブランド名は90%程度認知されているが、理解度は過半数を越えるものの90%を下回り課題だと認識している」との考えの下、戦略チームではブランドスローガン「コーヒーという情熱」とコミュニケーションテーマ「ドリップしよう。」を軸足に置いて活動している。

新たに制定・導入された100周年記念メッセージ・100周年ロゴマーク・新社章はこの一環で「歴史や思いに温度差があると感じたため、同じものを身につけることで会話のきっかけにしてもらいたい」との思いが込められている。

キーコーヒーのロゴは青色の四角の枠に鍵がデザインされているが、100周年ロゴは「信頼のイメージカラーである青色はある程度認知していただいたと判断し、次は希望や活力を発信すべく、そのイメージカラーである黄色を基調にした」。新社章も四角の枠が取り払われ鍵を強調したデザインとなっている。

会社案内も社史を詳述して大刷新。社史は特設サイト「コーヒーという情熱100年」でも当時の写真とともに公開され、コーヒーの可能性を広げてきた数々の取り組みが一覧できるようになっている。同サイトには歩みを簡潔にまとめたアニメーションも公開されている。

コーヒーの可能性を広げてきた一例には、コーヒーがまだ一般向け商品とは言い難かった時代の1921年(大正10年)に、業界で先駆けて製造・販売したコーヒーシロップが挙げられる。

他社の類似商品は殺菌と密封が不十分であったため発酵によって瓶が砕ける例も見られ“爆弾シロップ”とも呼ばれたが、同社は殺菌に万全を期し、特に王冠コルクは雑菌の侵入を防ぐために採用には厳選を重ねて発売にこぎ着け、清涼飲料水が少なかった時代に重宝されたという。

1929年(昭和4年)に発売された「キー缶」(缶詰めコーヒー)も革新の1つに挙げられる。当時、レギュラーコーヒーは袋詰めでしか売られていなかったため風味低下が避けられなかったが、缶詰めにすることでこれを改善。家庭への普及に貢献するとともに“その日の朝に挽いて袋詰めにして卸す”という当時の原則に風穴を開けたと伝えられている。

期間限定カフェ「キーコーヒー100周年カフェ」(東京ドーム)の順番待ちスペース。100年の歩みを示すパネル展示やアニメ放映も(第19回 東京国際キルトフェスティバル―布と針と糸の祭典―)
期間限定カフェ「キーコーヒー100周年カフェ」(東京ドーム)の順番待ちスペース。100年の歩みを示すパネル展示やアニメ放映も(第19回 東京国際キルトフェスティバル―布と針と糸の祭典―)

その後、戦後の物資不足の際には、コーヒー文化を絶やさないように、大豆や芋を混ぜるなど工夫を施して風味をできるだけ担保した「NEAR COFFEE(代用コーヒー)」を発売している。

レギュラーコーヒーに親しみをもってもらうべくコーヒー教室も先駆けて展開した。1960年(昭和35年)にはテレビ番組「NETコーヒー教室」を提供し、コーヒー教室を創設した高島君子氏が出演した。

このような100年のエポックメイキングな出来事は、29日まで東京ドームで開かれていた「第19回 東京国際キルトフェスティバル―布と針と糸の祭典―」と2月2日から10日に東京ドームで開催される「テーブルウェア・フェスティバル2020~暮らしを彩る器展~」内の「キーコーヒー100周年カフェ」でも紹介されている。

100周年カフェでは、同社が日本のコーヒー文化の発展とともに歩んできた歴史をアニメーション表現し、店内の壁面で情緒的・感覚的に発信している。