即席麺で社会的課題解決に挑戦 ロス削減、健康、働き方など メーカーの取り組み活発化

「健康寿命延伸」「食品ロス削減」「働き方改革」等々…。即席麺業界で社会的課題の解決に向けた取り組みが加速している。「健康寿命延伸」については、これまでも“糖質オフ”をはじめとする様々な商品が発売されてきたが、昨年、即席麺トップブランドの「カップヌードル」が“減塩”商品を発売したのに続き、明星食品が新容器「しおケアカップ」(特許出願中)を2月発売商品から順次導入予定するなど取り組みが急加速してきた。

一方、新製品、リニューアル品合わせ年間約1千500SKU以上(JAS製品のみ)が展開される即席麺業界でSKU削減の動きも顕在化する見通し。食品ロス削減や働き方改革が背景にあるが、即席麺は改廃マーチャンダイジングにより市場を拡大してきただけに、市場への影響を含め今後の動向が注目される。

日清食品は昨年9月、健康や塩分に気を配るカップ麺ユーザーをメーンターゲットとする「カップヌードル ソルトオフ」を発売した。その名の通り、通常の「カップヌードル」と比べ30%の減塩を実現した。同社では30%減塩という課題の解決に向け、世界中から約170種類の塩を集め、味や成分の分析を重ね、たどり着いた減塩に最適な素材(塩化マグネシウム)を使用した。製麺性や麺の食感、スープの味わいや保存性を維持する「ちゃんとおいしい! ソルトオフ製法」(特許出願中)により、“ちゃんとおいしい”のに塩分オフを実現したのが特徴だ。

一方、容器に着目したのは明星食品。新たに開発した「しおケアカップ」は、食べる人が容器内側下線までスープを残し、摂取する食塩相当量を調整できるようにした。カップ内側下線までスープを残した際、摂取する食塩相当量の目安がひと目で分かり、手軽に食塩摂取量をコントロールすることができるという仕組み。健康意識の高まりを受け、即席麺カテゴリーでも“減塩”ニーズが高まっているが、同社では、消費者がおいしく、かしこく食塩摂取量をコントロールできる「しおケアカップ」を導入することで健康に対する取り組みを推進する狙い。

「塩」「糖」「脂」等々、いまだ即席麺に対するいわれなき誤解が少なくないが、糖質オフ「おいしい低糖質カップ麺 『ロカボデリ』」シリーズ(エースコック)、減塩「ホットヌードル 塩分オフ」(東洋水産)、「サッポロ一番 大人のミニカップ」(サンヨー食品)等々、実は各メーカーから様々な健康系商品が発売されている。今後、定番ブランド商品、価格対応商品、高付加価値商品に加え、健康系商品のラインアップ拡充による新規需要の掘り起こしも期待される。

一方、食品ロス削減、働き方改革などへの対応から、SKU削減という動きも浮上している。実際、2020年度については、一部メーカーからSKU数が前年比2割減といった声も聞かれる。

即席麺業界は長らく、激烈なフェース争奪戦が繰り広げられてきたが、昨年6月の価格改定以降、価格対応商品やオープンプライス商品の売上げが増加。コンビニでは、差別化施策の一環として留め型やPBの構成比が拡大している。コンビニの24時間営業の見直し問題などを含め、これまでのような過度の改廃マーチャンダイジングを続けるメリットが薄れていることも事実。

大手メーカーのここ数年の動きを見ても、主力ブランドへの選択と集中という動きが進んでおり、そうした動きは今後も加速する見通し。実際、今期“七福神”施策(詳細は特集面に)を展開した日清食品の「カップヌードル」ブランドは、早ければ今期中に年間ブランド売上高が1千億円に到達する見通し。“強いブランドをより強く”という動きは同社に限らず加速する見通しで、結果的に食品ロス削減、働き方改革の推進につながる可能性もありそうだ。