明治「エッセル」などアイスに賞味期限表示 業界慣行に一石、波紋も 「1/3ルール」の扱いは?

安心志向の高まり受け6月から

明治は22日、市販アイスクリームへの賞味期限表示を6月から順次実施すると発表した。スーパーやコンビニなど、一般の小売店向けに流通しているアイスでは初の試み。

アイスは-18℃以下で保存すれば長期間にわたり品質変化がごくわずかであることから、食品表示法でも賞味期限表示の省略が認められている。このため業界でも、これまで表示は行ってこなかった。

ただ同社の消費者調査では、食品を選ぶ際に「安心して食べられる」ことを重視する傾向がここ1年間でも強まっており、アイスの賞味期限表示についても「あったほうが安心感がある」「表示を希望する」が7割前後を占めた。これに関連した消費者からの問い合わせも増えているという。

今回の決定について同社では、食の安心への期待の高まりに応えるためと説明。主力ブランド「明治 エッセル スーパーカップ」7品を皮切りに、来年4月をめどに市販アイス全品に表示を行う。賞味期限は社内での実験や海外の事例を参考に、24か月に設定。エッセルのマルチパック〈クッキーバニラ〉のみ12か月とした。

アイスにも「1/3ルール」適用?

賞味期限表示が不要なアイスは、夏場に売れ残ったメーカー在庫を翌年に出荷するといったことも一般論としては可能だ。

ところが賞味期限を表示すると、流通業界で慣行的に行われてきた加工食品の「1/3ルール」が適用されるケースも出てくる。賞味期限が24か月であれば、製造から8か月を過ぎた商品は、流通側の方針によっては納品できなくなる。在庫を翌シーズンの販売に回すことは難しくなりそうだ。

「1/3ルールは私どもが決めているものではなく、企業によっては1/2ということもある。今後、流通企業がどうとらえていくかということになる」「弊社としては賞味期限を表示するが、(法律上は)入れなくてもいいので、(アイスについては)そのへんのルールは取り払っていただければありがたいというのが私どもの考え方」(マーケティング本部フローズンデザートマーケティング部長 今井丈二氏)。

近年は食品ロス抑止の観点から、賞味期限を延ばしたり表示を簡素化したりする動きが強まっている。

「販売計画の精度を上げ、できる限り精度の高い生産と販売にしてロスを軽減していく」(同氏)方針だというが、売れ残り在庫の廃棄リスク増加につながることも考えられる。従来の慣行に一石を投じる同社の決定は、業界に波紋を広げそうだ。