鹿児島県・伊仙町篇⑫
徳之島コーヒー 生産者と外部委託で育苗強化 障がい者就労支援施設や高校が協力

徳之島コーヒー生産支援プロジェクトでは、種から苗木への増産体制と苗木から成木への増産体制の両方を整備して徳之島コーヒーの生産拡大に取り組んでいる。

苗木づくり(育苗)は、これまで味の素AGF社が寄贈した育苗用ビニールハウスで行われていたが、最大800本と限りがあるため、19年春の令和元年度から外部に育苗委託し現在約3500本が育てられている。

取材に応じた徳之島コーヒー生産者会の吉玉誠一代表(74歳)は「オール徳之島にするためにも、コーヒー生産者会以外の徳之島内の施設・団体に苗木づくりに協力してもらうプロジェクトを立ち上げた」と語る。

新たに拓かれた「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)
新たに拓かれた「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)

委託先は、障がい者就労支援センター4施設、徳之島高等学校、某外部機関で、苗木の数は委託先と生産者会あわせて3500本にのぼる。

苗木は丸紅が提供した4種類の種から育てられている。

新たに拓かれた広さ12a(1200㎡)の「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)に試験的に本植していく。

「コロンビアやコスタリカでは、1反600本の密植で栽培されている。試しに増やして植えてみる。それで問題なければ拡大していく。密植のほうが風に揺らされる可能性は低く台風対策には良さそうだ。」と説明する。

徳之島高等学校の生徒が栽培する伊仙農場。コーヒー以外に果物や野菜も育てられている
徳之島高等学校の生徒が栽培する伊仙農場。コーヒー以外に果物や野菜も育てられている

伊仙町のとなり徳之島町亀津にある徳之島高等学校では、週4回、総合学科生物生産系列を履修する2・3年生がバスで伊仙農場を訪れ、そこで農業について学習。メロン、トマト、キャベツなどの栽培を手掛ける中で、今年からコーヒーの育苗を受託している。

「コーヒーの育苗は私も初めてでやり方を見つけるまでが難しいが、育ててみると意外に簡単」と述べるのは、ここで生物生産系列実習助手を務める西村盛勝さん(60歳)。伊仙農場のビニールハウス内には苗木800本弱が育てられている。

5月下旬から播種(種まき)を行い7月中旬にポット(ポリ鉢)へと鉢上げ(植え替え)し9月まで日焼けを避けるべくカバーをかけて育苗していた。

西村盛勝さん
西村盛勝さん

現在はカバーを外し、害虫対策に注意を払い、黄色の高性能粘着トラップ「ホリバ―」をぶら下げて害虫を捕殺している。

土については、自然にある赤土と市販の培養土で生育状況を比べるなどの実験を行っている。「赤土と培養土で大差ないことがわかれば、赤土を使えて培養土の費用が削減できる。ただし播種には赤土は不向きであることがわかった」という。

今後は味の素ヘルシーサプライの液肥「アミハート」を使った実験も予定。既に「アミハート」を推奨通りに使用している「AGFコーヒー実証農場」では、本植から2年足らずの幼木の幹が成木並みに太くなりコーヒーの実もつきはじめていることから、その効果がささやかれている。

「AGFコーヒー実証農場」(第一圃場)
「AGFコーヒー実証農場」(第一圃場)

「生徒もコーヒーを島の産業にするという目的で取り組んでいる。苗木づくりの手応えは十分にある。あとは生産者次第だが、毎年これだけの量を育苗して定植していけば徳之島コーヒーは上手くいく」と期待を寄せる。