飲料 供給体制を強化 台風・豪雨など予測できない天災に備え

物流費高騰も背景

飲料各社が供給体制を強化している。台風や豪雨の大型化や天災の予測もしないエリアへの襲来が、その背景にある。一方で、上昇し続ける物流コストを抑制する狙いもある。

コカ・コーラボトラーズジャパンは、2018年の西日本豪雨で広島県三原市の工場と隣接の物流拠点が浸水して以降、その復旧や製品供給能力の強化を急ピッチで進めている。

新・無菌充填ライン 設置工場一覧(コカ・コーラボトラーズジャパン)

同社は19年を基盤構築の年と位置づけ、19年から今年にかけて新・無菌充填ライン(アセプティックライン)7本の導入を計画。既に3本が稼働し、今後は白州工場(山梨県北杜市)の老朽化したラインを刷新して4月をめどに稼働させるほか、蔵王工場(宮城県)では新ラインを増設し5月の竣工を予定している。

加えて、被災した広島県三原市の工場(旧本郷工場)は広島新工場へと生まれ変わり、6月に2本の新ラインが竣工予定となっている。

対するサントリー食品インターナショナルは、宇治川工場(京都府城陽市)に新無菌充填ラインを1ライン新設して19年9月に稼働させた。今後は榛名工場(群馬県渋川市)でも新無菌充填ラインを今春に1ライン目、そして来春に2ライン目を稼働させる計画となっている。

ブランドの中ではとりわけ「サントリー天然水」は自然災害が発生するとライフラインになることから対応力を一層強化していく。21年には長野県で新工場「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」が立ち上がり、「サントリー天然水〈北アルプス〉」が発売される。

物流面については「従来は工場周辺に在庫していたが、18年夏に人手不足と自然災害による物流の寸断でモノが運べなくなったことを反省し、19年は消費地に近いところに在庫量を増やして供給能力を担保していった。夏場の天気がどうなるかは予測できないので、コストはかかるが、やり続けるしかない」(木村穣介取締役専務執行役員ジャパン事業本部長)との考えの下で改善に取り組んでいる。

ルートセールスを強みとする伊藤園は、配送の一部を外部委託することで各支店の配送量を削減。その削減分を店頭での営業活動に充てることで商談力を高めているという。

物流面では合弁会社のトーウンロジテムで今期中(4月期)に19か所のセンターを順次稼働させて物流コストを削減していく。

キリンビバレッジは18年の物流破綻を教訓に、昨春から輸送力強化の取り組みとして物流拠点となるキリンゲートウェイ(KGW)の設置を進めている。

工場と物流センターの間にKGWを置くことで、車両に余裕のある閑散期に工場在庫を消費地近郊のKGWに転送し、繁忙期にはKGWからのブロック内輸送や届け先への配送に特化させている。

堀口英樹社長は「長距離輸送で各地に配送していたのを改め、在庫を地域に分散させることで輸送距離を短くする。これによりコストは上がるが、清涼飲料事業を営む会社としてきちんと商品をお届けするのは社会的責任のため体制を整えていきたい」との考えを明らかにした。

アサヒ飲料は21年に、これまで手薄であった中部エリアを強化していく。

アサヒグループホールディングスは、アサヒビール名古屋工場に約120億円を投じてPET商品の製造ラインと物流倉庫を新設し21年4月の稼働を予定。これにより、アサヒビール名古屋工場は「カルピスウォーター」など年間約900万ケースのPET商品の製造が可能となる。

アサヒ飲料の岸上克彦社長は「18年は猛暑でSCMが破綻してお客さまにご迷惑をおかけした反省から、物流倉庫の配置・再整備をして生産地点から極力運ぶ距離を短くして、消費されるお客さまの近いところに営業倉庫を構えることに着手し、20年に向けても強化していく」と語った。

ポッカサッポロフード&ビバレッジも物流改革に着手。岩田義浩社長は「人手不足による物流の問題はずっと続いていくと考えている。昨年は名古屋に点在している倉庫を1か所に統合したほか、配送距離の短縮化を検討していく。当社の場合、仙台・群馬の東北・北関東と名古屋に工場があることを踏まえ、さまざまな検討を図っていきたい」と説明した。

(2020年1月15日配信)