自動でそうめん箱詰め 構想3年「揖保乃糸」完全自動化ライン

兵庫県手延素麺協同組合は、地元の機械メーカー西村製作と共同開発した新システムを導入し、熟成保管していたそうめんを箱から自動的に取り出し、ピロー包装、段ボールの箱詰め、封函までの工程を完全自動化させた。

昨年12月21日、リニューアル工事を進めていた「資料館そうめんの里加工場」が竣工した。

同工場では看板商品「手延素麺揖保乃糸 上級300g」の包装加工(リパック)を主に行い、今回、冒頭の新システムを導入した。これにより現場要員を従来の16人から9人に半減して省人化を進め、生産性、衛生面の向上を目指す。

井上猛理事長は「最盛期のリパック加工が滞らないよう進めるとともに、将来的に安全安心に対し求められるレベルが高くなることを予想し、さらに意識を高めていきたい」と意欲を見せる。

手延べそうめんは小麦粉のグルテンが安定する秋冬をメーンに生産し、一定期間寝かせた後、春夏の消費最盛期に向けて出荷される。その年度に生産した麺を「新物」、1~2年寝かせた麺を「古物(ひねもの)」として販売するため、組合員が生産した麺はいったん18㎏(50g×360束)のプラスチック箱に納入し、組合の熟成庫に保管。販売計画に合わせて倉庫から取り出し、リパック作業を施す。

箱を回転させて取り出す
箱を回転させて取り出す

今回特に注力したのが、麺を箱から取り出しラインに乗せる作業だ。麺の細さ約1㎜の手延べそうめんは、少しの衝撃で折れやすい。束ねたそうめんを数束ずつ素早くつかむには熟練した技とスピードが必要とされ、人手不足の中でも急な需要増にも対応できる体制づくりが急務だった。

新ラインでは箱から原麺を一列ごとに強力な吸引力で吸い上げてラインに乗せ、ピロー包装ラインへと送る。手延べ麺ゆえに麺幅の微妙な違い、それによる束の凹凸もあるが、試行錯誤を重ねてスムーズな動きを実現した。

「構想3年、試作に1年を要したが、井上理事長の豊富な知識と経験からアドバイスをもらい、それに当社のアイデアを形にする技術をもって実現にいたった」と西村憲行・西村製作社長は話す。

視察の様子(左が井上猛理事長(兵庫県手延素麺協同組合)、中央が西村憲行社長(西村製作))
視察の様子(左が井上猛理事長(兵庫県手延素麺協同組合)、中央が西村憲行社長(西村製作))

完全自動化により現場スタッフはシステムメンテナンスと資材供給、品質チェックに集中できる。製造日ごとに麺水分量を測定して管理。他の直営工場や本部事務所とのIoTを活用したトレーサビリティシステムでつなぎ、麺の香り、麺線、視覚などの原麺情報を共有することで、生産者へのフィードバックに生かす。

処理能力アップに合わせて他の設備も入れ替え、2ラインで1時間あたり304箱(「上級300g」×30袋入り)、日産570箱に高めた。また昨春に物流改善の一環で導入したパレットチェンジャーを生かすべく、新ラインでは動線を見直し、原麺を回転させながら箱から取り出して封函するまでをすべて上下逆さまに行い効率化を図った。

【資料館そうめんの里加工場概要】

▽所在地=兵庫県たつの市神岡町岡村56番地
▽施設概要=敷地面積1万9千605㎡、建築面積2千125㎡(自動包装加工施工面積255㎡)、延床面積3千728㎡
▽構造=鉄筋コンクリート造り一部4階建て