キリンビール、酒税改正見据えブランド強化 昨年は13年ぶりの2年連続成長

今年のキリンビールは、今年から26年までに段階的に行われるビール類酒税一本化の流れの中を見据え、10年後に生き残るブランドを今から投資・育成することを基本にした戦略を展開。CSV(企業が社会と共有できる価値を創造すること)経営の深化を土台として①主力ブランドへの集中投資で強固なブランド体系を構築するとともに、②ビール市場そのものの魅力化を目指しクラフトビール事業に注力する。また目先の数字を追うための戦略は採らないといい、昨年に続き大型新商品は予定していない。8日に会見を開いた布施孝之社長が明らかにした。

昨年のビール類市場は前年比1%ほど減少したとみられる中、同社は0.3%増。13年ぶりとなる、2年連続前年比増を実現した。

成功の要因として山形光晴マーケティング部長は「マーケティングの変革にある」と話す。従来は競合との差別化が判断基準だったが、「消費者が何を求めているのか」に基準が徐々にシフトしているという。

キリンビール 目標と実績

この組織風土の変革や、社内で「絞りの効いたマーケティング」と呼んでいる、主力ブランドへの集中投資といった戦略が奏功。また基幹ブランドの強化を掲げ、大型の新商品投入を控えた中でのプラス成長について布施社長は「大きな成功であり大きな意義があった1年だった」と評価する。

26年のビール類酒税一本化に向けて強いブランド以外は淘汰されると予想。市場は高価格、スタンダード、エコノミーといった価格帯に分かれ、また健康ニーズといった価値を実現するブランドが残るとみており、そこに向けた戦略を進めていく考えだ。

「一番搾り」は業務用市場が天候不順や消費増税の影響を受けたことでブランド全体では減少したが、量販で間口が広がったこともあり、缶は約3%増。

10月には酒税改正の第一段を迎え、減税となるビールには追い風が吹くと予想。季節、期間限定商品などの施策を間断なく展開。作り手の想いなども含めて、おいしさを伝える活動を展開することで、増税となる新ジャンルなどからの流入契機を作りたい考えだ。

昨年も61%増と、躍進が続く「本麒麟」について布施社長は「消費者が求める本質を射抜けた商品」といい、今年は味覚と缶体を刷新し1月中旬製造分から順次切り替える。刷新に合わせて広告、メディア、SNSなどで圧倒的な量・質で伝えるとする。

「のどごし」は6.7%減だったが年初予想は上回った。今年も「爽快なうまさ」と「元気で明るいイメージ」を両輪としてPRに努める。20年は8.9%減を予想。

「淡麗グリーンラベル」は飲用間口が拡大。機能系への入口となるブランドだといい、今後も成長機会があるとみる。3月に刷新を予定。大規模サンプリングや刷新に合わせたCM等で新規ユーザーの誘引を図る。

昨年10月投入の機能性表示食品のノンアルビール「カラダFREE」はノンアルビール市場の間口を拡大したといい、今年もその価値が伝わる店頭作りで非ユーザーの購入喚起を狙う。