創業100周年のキーコーヒー 柴田裕社長、新メッセージへの思い語る

キーコーヒーは8月24日に創業100周年を迎えるにあたり「情熱を世界へ、感動を未来へ。」を新メッセージに掲げるとともに、平成元年に導入した社章を刷新した。

創業時の大正から昭和初期頃まで、コーヒーはパンやケーキと同じように西洋文化の憧れであった中、同社はプロフェッショナルなイメージの強いコーヒーをより身近に感じてもらえるような商品を次々と発売していった。

1921年に発売した希釈タイプ「コーヒーシロップ」はコーヒーを広く普及させるきっかけとなり、その後も抽出器具を使わず湯を注ぐだけで本格レギュラーコーヒーが味わえる「ドリップオン」や、不慣れな人でもおいしくコーヒーをいれられる抽出器具「Noi」シリーズなどを生み出していった。メッセージ前段の「情熱を世界へ」はこのような歴史を踏まえて考案された。

100周年メッセージ(キーコーヒー)
100周年メッセージ(キーコーヒー)

取材に応じた柴田裕社長は「二世紀企業への扉を開くことになる今年、先達から引き継がれた情熱をより幅広い人に伝えていきたい。その思いを“情熱を世界へ”の言葉に込めた」と語る。

その思いを具現化する一つに、今年予定している台湾産コーヒーの商品化が挙げられる。

台湾産コーヒーは1930年代、創業者の柴田文次氏が台湾でコーヒー栽培事業を開始し日本にも出荷していたが、第二次世界大戦の激化で農園維持が困難となり終戦とともにすべてを手放したことで途絶えてしまった。商品化はこの歴史を刻むことを目的とした。

「私が16年に農園跡地を視察した際に、当時栽培されていた1本のコーヒーの樹が“百年珈琲樹”と名づけられ奇跡的に残っていたことから、地元行政と連携し創業100周年事業として農園跡地を台湾のコーヒー文化の原点として整備・保存していくことにした」と説明する。

同社は特設サイト「コーヒーという情熱 100年。」を公開。同サイトでは100周年メッセージのほか、キャンペーンや商品情報とともに「History」のコーナーを設け100年の歩みを当時の写真とともに振り返れるようになっている。

新社章のイメージ(キーコーヒー)
新社章のイメージ(キーコーヒー)

メッセージ後段の「感動を未来へ」には、コーヒーを初めて飲んだときに感じるおいしさや喜びのようなものを新しい形で伝えていくという決意を表した。

「若年層などコーヒーに接していない人がまだ無数にいることを考えると、コーヒー消費はまだ伸びる余地があると考えている」と述べる。

新メッセージとともに社章も刷新。従来は、平成元年の社名変更時に導入されたもので、青色の四角の枠に鍵をデザイン。これを改め、新社章はより鍵を強調して女性社員でも身につけやすい親しみのあるデザインに仕立てられており、「コーヒーという情熱を胸に、新しい鍵で未来への扉を開いていく」という思いを込めた。

コーヒーにおいても“モノからコトへ”が言われるようになった今、将来に向けてはコト消費を超えた提案も視野に入れる。

「サードウェーブの流れで産地・農園・品種に価値を求める動きもあれば、焙煎やブレンドを自ら手掛けてみたいニーズも増えている。シングルオリジンを通じて、今度はブレンドに興味を持たれたり各社のブレンドを比較してみたりする動きも出てきている。“モノからコトへ”に対応しつつ、将来はさらにコトを超えたものを提案していきたいと考えている」と意欲をのぞかせる。