モバイル活用徐々に進む食品業界 ニチレイもアプリ展開へ

日本の食品業界は他産業や外資系に比べてデジタルの活用がやや遅れているといわれる。特にモバイルについては大きな広がりがみえないが、新規展開の判断等に情報を活用する動きもある。

モバイルアプリ「conomeal(このみる)」の開発を進めるニチレイ経営企画部事業開発グループの関屋英理子マネージャーは、モバイルに着目する理由を「消費者のそばにあり、常に持ち歩くものだから」と話す。

モバイルアプリ市場のデータ解析サービス「AppAnnie Intelligence」を提供するApp Annie Japanの向井俊介日本代表ディレクターも「スマホという生活者に近いものを活用することでデータが得られ、次の打ち手を理解できる」と語る。

スマホから得られるデータはその人の生活を露わにしやすいが、TikTokといった外資系アプリの人気が急速に広がっており、外資が日本人のデータを吸い上げ、データを持ち始めている。

一方で投資に対する見返りがイメージできないことから国内食品業界の動きは一部を除き鈍い。

向井氏は短期的な収益を目指すよりも「顧客情報の一元管理等のシステム(CRM)を構築し、ブランドのイメージを向上させる」こととモバイルの相性の良さを指摘。

またモバイルを活用するメリットは「生活者を理解する情報を直接入手できる」ことだとする。

同社のサービスは自社アプリを活用する企業だけでなく、他社や市場動向を知りたい企業にも有益という。古い企業ほど中間層が声を上げてビジネスに生かそうとする傾向があるといい、KPI設定や新規事業立ち上げ時の投資判断の情報として活用できる。食品業界でも一部の外食やメーカーが活用しており、アプリの展開だけでなく、海外展開時の現地市場情報も得られる。

向井俊介氏(App Annie Japan)
向井俊介氏(App Annie Japan)

向井氏は「国内経済が膨らまない中で一人ひとりの消費者を大事にしながらCRMを構築する手段の一つとして使える」と話す。

ニチレイの「このみる」はその人、その時に応じた最適なおいしさを嗜好と心理的要素を掛け合わせて分析することで視覚化し、様々な食の提案を目指すモバイルアプリ。

メーカーでは直接消費者に触れることができず、消費者の傍で分析できる仕組みを持つサービスを立ち上げたかったと関屋氏は語る。

このサービスの特徴は、食に対する意識、気持ちと環境で食の嗜好を分析し、感性的な“食”を客観的なものに変換すること。そのためにユーザー動向を知り、それぞれに合った食を届けることを最終目的とする。

17年から同社が持つ技術を用いた展開を検討。アプリ開発の知見に乏しいことから積極的に外部リソースを活用。「自社で閉じることなく、さまざまな方と共創したい」(関屋氏)と意欲的だ。

20年のサービス開始を目指すが「まずは消費者とのつながりを図り、ユーザーの反応を得た上で次の展開を検討する」としている。