「東京五輪をチャンスに」 三菱食品・原正浩マーケティング本部長が来年を展望

三菱食品はこのほど都内で会見し、原正浩・執行役員マーケティング本部長が「19年の総括と20年の展望」を説明した。その中で、原氏は「20年は東京オリンピックを中心に経済が動く記念の年となるが、一方でオリンピック後の動向にも注視する必要がある」との認識を示した。発言要旨は次の通り。

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日本の出生数はついに90万人を下回り、本格的な少産多死の時代を迎えた。人口減少と高齢化が顕在化し、現実問題として深刻な課題になっている地域もある。所得の低下も継続し、年収400万円未満の世帯が47%に達し、近い将来6割を超える。ニューエコノミカル層に対する需要喚起策は大きなテーマになる。消費増税の影響は、軽減税率対象の飲食料品の振れ幅は限定的だったが、今後の消費動向を注視していく必要があり、依然予断はできない。10月までの小売の販売動向を見ると、全業態トータルで0.5%減、ほぼ横ばい。業態別ではスーパー微減、CVS2%増、ドラッグ7%増。ドラッグの成長が続いているが、一時ほどの勢いは薄れつつある。再編の動きも加速している。

19年の振り返り

まずは改元。令和を記念した商品の発売、店頭販促などお祝いムードが市場を盛り上げた。一方で5月のGW10連休では旅行関連の支出が目立ったが、食品は清酒などを除けば全体としては低調だった。消費増税では日用品はその後の反動減が見られ、食品は軽減税率で影響は軽微だったが、一部の品目では駆け込み需要もあり、消費者には分かりづらい面もあった。キャッシュレス決済のポイント還元で、スーパー・CVS・ドラッグのキャッシュレス比率は確実に上昇傾向にある。

そのほかでは、ラグビーW杯の盛り上がり、相次ぐ自然災害で、その備えや環境問題への意識も高まっている。19年のヒット商品としては、SNS映えのタピオカ、食中酒として人気のレモンサワーなどが挙げられる。そのほかでは、しび辛商品や睡眠関連など。当社の情報誌「平和島ナウ」の2020年トレンド予測では“ポストタピオカ”としてバナナジュース、緑スイーツの新定番ピスタチオ、簡便志向の冷凍食品、手や皿を汚さずに食べられるワンハンド飯に注目している。

2020年の展望

最大のトピックスは東京オリンピック・パラリンピック大会の開催。特に前半戦は五輪を中心に経済が動き、その需要をしっかりと取り込むことが大事だ。訪日外国人客の増加は、都市部だけでなく地方にもその波及効果が期待できる。ベジタリアン、ビーガン、ハラルなどへの対応や、外国人向けのサービスも重要になる。消費動向では、キャッシュレス。6月に現行のポイント還元が終了する。消費者アンケートでは75%弱の消費者がキャッシュレスを継続利用する意向を示しているが、小売業にとっては手数料負担や、キャッシュフロー悪化などの課題もある。

景気は一時的に盛り上がるが、五輪後は人口減少や高齢化、人手不足による物流問題など、さまざまな課題が再び顕在化する可能性もある。その意味では、2020年はオリンピック需要を確実に取り込みながら、ポストオリンピックを見据え、サプライチェーンの効率化、デジタル化に向けて業界全体が連携し、さまざまな社会課題に対応していく年となる。