次世代の塩づくり新技術発表 塩事業センター海水総合研究所

塩事業センター海水総合研究所(神奈川県小田原市、吉川直人所長)は6日、「SALT&SEAWATER SCIENCE SEMINAR2019」を開催。「塩づくりの未来を支える次世代イオン交換膜」をテーマに講演会を実施した。当日は塩業界関係者に加え、水処理業界関係者、一般参加者など約100人が来場、関心の高さがうかがえた。

冒頭、塩事業センターの津田健理事長は「これまでは東京で塩に関する広義のテーマで講演会を開催してきたが、2年前からは研究所での開催とし、テーマも塩の技術的なものに特化している」と説明した上で「国内の塩生産は90%以上がイオン交換膜。製塩に携わる方にとっては身近な技術だ。しかし、新しい膜を開発していく必要もある。日本を代表し第一線で活躍する方たちの研究をぜひ聞いていただきたい」とあいさつした。

セミナーでは斎藤恭一・早稲田大学研究院客員教授が「電子線グラフト重合法の基礎」をテーマに、同法の利点について詳細に解説するとともに、汚染海水の浄化策として採用されていると説明。また、海水総合研究所の永谷剛主任研究員は「電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発」をテーマに、開発の経緯、概要を説明した。

同研究所では、国内製塩企業の国際競争力を高めることを主眼に、平成18年に塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)をスタート。現在は製塩用次世代膜の工業化に関する研究に発展している。塩業界で求められている次世代交換膜は、より省エネルギーでの海水の高濃度濃縮や、電気透析装置の解体洗浄のスパンを延長できるほか、運転トラブルを抑制できるなど効率性向上を目指しており、平成25年からはAGCエンジニアリングとの共同研究も進めている。

永谷主任研究員は次世代イオン交換膜の工程試験における結果について「濃縮性能は現行イオン交換膜比で向上し、長期安定性、スケール発生の抑制も確認できた。消費電力も10%低減している」と報告した。

AGCエンジニアリングの田柳順一主幹技師は「次世代イオン交換膜の実用化に向けて」の講演で、次世代製塩用新膜(セレミオン膜)の構造と商業生産までの経緯、性能を説明した。

なお、講演会閉会後は研究所の施設見学会も行われた。