アジアの食品流通事情 食品輸出実務と実践塾⑧ グローバルセールス 山崎次郎氏

ディストリビューターの存在

日本と海外との商流の違いで最も異なるのは卸の存在である。日本はもの作り大国で、それは食品業界にも当てはまる。戦後、電気や水など社会的基盤が整備された結果、製造業によって日本は復興を遂げることができた。商品を日本中に届けるために道路整備され、路線便ができ、卸の機能が発達した。製造業が物作りを、卸は広く商品を届ける仕組みが出来上がったのである。

しかし、この仕組みは日本独自だ。卸という機能は日本の特殊な機能であり、韓国を除いて海外にはほとんど存在しない。

笑い話になるが、あるメーカーの社長が視察に行って「卸に行きたい」と話をされた。通訳は「WHOLESALE(ホールセール)」と訳し、メトロやマクロなどの倉庫型小売業に案内されて怒り出したそうだ。卸という業態がないから、直訳されるとそんなことになってしまう。

ディストリビューターとは、自社で商品在庫を持ち、小売や飲食店と直接口座を持ち、自社配送で商品を指定された場所まで届ける会社のことだ。この仕組みは日本とは大きく異なる。日本ではメーカー向けのインフラが整備されているので製造拠点がたくさんある。魅力的な商品が多く品数も豊富だ。その上、工場を持たない食品企画会社も多く市場に参入していて、小売の品揃えは非常に魅力的になる。さらに全国に名産品が多く、地域のお土産店の商品も魅力的だ。しかし海外の食品は日本のように種類が多くない。

日本食品を輸入し、その国で販売するのが日本食品ディストリビューター。各国にそれぞれディストリビューターがある。海外で自社商品を売りたい場合、食品メーカーはこのディストリビューターに商品を売る必要がある。あなたの会社が日本の食品輸出商社に販売し、その食品輸出商社が海外の日本食品ディストリビューターに販売するという間接貿易をするのか、自社で海外の日本食品ディストリビューターに販売する直接貿易をするのか、この2つが海外販売方法となる。

ディストリビューターにはいくつかのタイプがある。野菜のディストリビューター、米のディストリビューター、酒のディストリビューターがある。以前、野菜と果物を扱う農産物のディストリビューターの社長と話をした。日本の農産物を全く取り扱っていないので理由を聞いたら「日本の農家は誰も営業に来ない」と言われた。私はイスラムの国マレーシアで、日本のハム・ソーセージを輸入販売していた。そんなことができるのは現地の豚肉のディストリビューターしかいないので、そこに輸入をお願いしていた。

ディストリビューターの特性はしっかり理解しておきたい。販売したい商品を取り扱っていて、輸入実績を持つディストリビューターと直接商談することが輸出成功への近道となる。

例えば酒を売りたいなら、既に日本酒を販売実績を持つディストリビューターと交渉する。現地の市場で大量に酒を売っている酒のディストリビューターに多数営業し、自社の商品を理解してくれるディストリビューターを見つけるのがグローバル営業の基本となる。

さらに、まだ日本酒を取り扱っていないお酒のディストリビューターとも交渉したほうがよい。なぜなら日本商品を取り扱っていないディストリビューターの経営者やバイヤーは、日本のメーカーと商談したこともないし、日本食品の展示会にも行ったことがない人が多いからだ。

ディストリビューターの見つけ方は、実はとても簡単だ。3年間で60か国にコンテナ単位で菓子を売ることに成功した私のマレーシアの友人、ケルビン君のグローバル営業方法を後日ご紹介する予定である。