近畿流通業界 帳合変動に消費増税 卸は「減益要因たっぷり」

「売上げの増減に反映されるのは、市場動向よりも帳合変動」。近畿に拠点を置く全国卸の経営幹部は明かす。小売業の見積合わせに伴う帳合の動きは依然として激しく、それによってもたらされる納価のダウンは物流費・人件費をはじめとするコスト高とともに卸売業の利益を圧迫している。当然ながら、人手不足は卸に限った話ではなく、小売業や飲食業などの現場でも深刻さを増している。それでも近畿地区では新たな出店が続き、人員確保に伴う人件費のアップや競争激化による客数減少で量販店も苦戦を強いられている。

近畿経済産業局の月次動向によると、今年10月まででスーパーの既存店販売額が前年を上回ったのは、増税前の駆け込みが起こった9月のみで、それ以外の月は前年を下回り、減少幅は軒並み全国よりも大きかった。

そのしわ寄せは納入先である卸に否応なくやってくる。経営が苦しくなると、見積合わせを要求するのは小売業の常だが、卸は「売上げを求めると利益は下がる。帳合を捨てて利益を取るべきか」(全国卸幹部)と難しい選択を迫られる。ただ、「従来と同じだけのサービスを維持すれば儲からなくなっている」(同)のが現実だ。

中小の地域卸も苦しい状況は同じ。有力得意先である地元の小売店も小売間競争に巻き込まれ、閉店するところも少なくない。その動きに拍車をかけたのが10月の消費増税だ。卸・小売とも中小企業にとって、システム変更への投資や軽減税率に伴う煩雑な作業、それにかかわる手間とコストは大きかった。

増税後に活発化した大手小売業のセールは地域の小売業も巻き込み、安売り合戦が加速。地場卸の経営者は「増税は得意先である中小小売店の廃業を助長した」と指摘する。さらに、今年はメーカーの相次ぐ値上げに振り回され、働き方改革に伴う業務改善も避けられない。「減益要因はたっぷりある」(地域卸)と強調する。

こうした中、地域卸は小売にとどまらない新たな販路の開拓を進め売上げの拡大を目指し、物流においては、自社配送を含めた最適化を図りコスト改善を進めている。一方、大手卸は大型物流センターへの投資を行い省人化を推進。同時にフルライン強化による新規チャネルの拡大や、自社商品の開発によるメーカー機能の強化などに注力し収益改善を図ろうとしている。