「コーヒーが足りなくなる未来」 業界に危機感、持続可能な産業へ協会が記念事業

世界のコーヒー生産量は現在、コーヒー最大生産国・ブラジルの大増産で消費量を上回っている状況だが、長期的には世界的な消費拡大と気候変動による栽培適地の減少で生産が消費に追いつかない状況になる。

2050年にアラビカ種の栽培適地が現在の50%にまで減少する「2050年問題」の警鐘も鳴らされ、消費国・日本においてもコーヒー各社が認証コーヒーの発売や産地支援などに取り組んでいるが、より多くの消費者にこの問題を知ってもらうべくコーヒー業界が結束した。

コーヒーの製造・流通・輸入業者の団体である一般社団法人全日本コーヒー協会(全協)は11月29日、都内で通常総会を開催し、新たに掲げられた「コーヒーの未来に向けて」の統一スローガンの下、記念事業などを通じてコーヒー産業が直面している問題や現在の取り組み状況の情報発信を強化していくことを決定した。記念事業などの詳細については今後、詰めることになる。

取材に応じた全協の横山敬一会長は「今後1年間にとどまらず、単に消費するだけではなく何らかの日本らしい貢献を行っていきたい」と意欲をのぞかせる。

消費面においては、生産者により還元できる付加価値コーヒーを啓発していく考えで、20年6月から東京・大阪をはじめとした全国の主要都市でコーヒーの消費振興イベントを記念事業の一環として開催していく。

「消費拡大と付加価値のあるコーヒーを飲んでもらうことでサスティナブルにつなげていく。加えて、日本が高齢化と人口減少の中で消費量を伸ばし続けていることも、今後高齢化を迎える国に対して貢献できるポイント」と述べる。

近年では長期的なコーヒー相場の低迷が生産者を直撃している。「国際コーヒー機関(ICO)の理事会では生産国側から経済的なサスティナビリティ、このままでは立ちゆかないことが毎回議題にあがっており、消費国である日本がそれにどう対応していくかに注目が集まっている」という。

また、気候変動による栽培適地の減少も深刻化している。「生産適地は温暖化で移動して減少している。生産量は一時的に増えているものの、将来は消費が過去10年間の平均で毎年2.1%伸びているのでとても間に合わない」と危機感を募らせる。

ICOによると、世界のコーヒー消費量は1億6千800万袋(1袋=約60㎏)とみられ、今後10年間で2億袋に達する見通し。18/19年度(18年10月~19年10月)の世界コーヒー消費量は、前年比2.1%増と推定される。

「中国、インドで消費拡大の動きもあり、2億袋に達するのが今後10年から早まる可能性がある」と指摘する。

全協では今後、サスティナブルなコーヒー産業を目指すための基本的な考え方を定めて、ホームページなどで発信する。ホームページ内にサスティナブルに関するコンテンツを開設し、そこで各団体・各企業の取り組みもまとめて紹介する予定となっている。

全協は20年8月に設立40周年を迎える。総会で新たに掲げられた「コーヒーの未来に向けて」の統一スローガンは、その節目に向けて掲げられたものでもある。

40周年の節目には、全協が独自にテーマを設定した研究助成事業を実施し、消費者の健康増進やコーヒーの消費振興に貢献していく。

全協は1996年から「コーヒーと健康」をテーマに全国の研究者を対象に応募型の研究助成事業を実施し、これまでに267件ものコーヒーが持つ生活習慣病の抑制効果などの研究助成を行ってきた。