日本酒とテロワール

木枯らしが吹くと日本酒が恋しくなる。12月から1月にかけてしぼりたての新酒が出回り、そのみずみずしさを味わうとひと足早く新年を迎えた気分になる。酒を味わい瓶の顔を眺めながら性格を読み解くのも楽しい。

▼日本酒で「テロワール」という表現を頻繁に見かけるようになった。もとはワイン用語で、広義では風土。狭義はぶどうが育った土壌や地形、水などその土地の特徴を表現する時に使う。日本酒の場合は「地酒」と言っても、多くは米の栽培地と酒を醸す場所が異なり、風土は強調されなかった。その風潮が変わりつつある。

▼蔵元と地域の関係はこの10年ほどでより深くなった。日本酒は原料の8割が水が占め、水質は酒質に反映される。また酒造りに欠かせない酵母は、もとは自然界にある。昔の技術で酵母を取り入れ、地域の酒米を使い、さらには酒米から育てる蔵元も出てきた。「テロワール」の発想で、地域に根ざした独自の味を目指している。

▼風土をリスペクトした酒造りを感じると、日本酒が工業製品ではなく農業製品ということを改めて実感する。