成功例だけ? 「手帳術」

年末が迫ると多くの書店や文具店に翌年の手帳が並ぶ。早い店舗では9月頃から並ぶようだ。同時に手帳術等に関する本も大量に並び、雑誌では時間術を説く記事が増える。

▼手帳術などを実際に役立てることに成功した人はどれほどいるのだろうか、との疑問も湧く。本や雑誌には上手に活用できている人の例だけが載り、失敗例は分からない。様々な手帳術を比較検討したものも見たことはない。筆者自身も多くの本や記事を読んだが、直接役立ったものはほとんどなかった。

▼70年代に産業構造の変化が庶民レベルに波及。セルフマネジメントの必要性が高まったことを背景に成功者の時間管理法や新聞記者のノート術へ関心が集まり、この手の本や記事が増えたと聞く。つまり一流人や特定の職業人が持つノウハウが紹介されているに過ぎないのだ。地域や産業、生活形態、個々人の癖や性格の違いなどに対応できる手法なのか、疑問を抱いて当然だろう。

▼成功事例の研究が悪いとは思わないが、失敗例の研究も必要だ。「役に立たなかった手帳術」といった論文を期待したい。