“絶滅危惧”から再興へ

世のトレンドに強い人が周りに一人二人いて「講談が面白い。神田松之丞を聴くべきだ」と教えられた。落語は好きだが、講談はかなり縁遠い存在だ。それでも、早速動画を検索してみた。

▼面白いではないか。本物の話芸だ。これまで講談を蔑ろにしてきた不明を深く恥じた。神田松之丞は今、発売即完売する日本で最もチケットが取れない才能(タレント)だそうだ。高校時代に落語に目覚め、大学を卒業するまで落語、文楽、歌舞伎など伝統芸能を見尽くした上で講談の世界に入門したという。

▼「絶滅危惧職、講談士を生きる」(新潮文庫)を読むと、過剰なエネルギーを持て余していた彼の半生が伺える。近年は講談界の広告塔としメディアで活躍しているが、彼の真骨頂はやはり高座にしかない。

▼絶滅危惧職と自ら揶揄するように講談は身近にない芸能だが、来年真打に昇進する名跡・伯山を襲名する彼を救世主とし活気付くのを期待したい。“絶滅危惧”とは云わないが、今後が心配な伝統食品は多々ある。内から外から救世主が育つ土壌を作ることも必要かもしれない。