「徳之島コーヒー」商品化へ前進 新品種を検証、23年本格発売目指す 味の素AGF

味の素AGFが2017年6月から鹿児島県奄美群島で実施している「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」において、国産コーヒーの商品化へ大きく前進。課題だった台風対策も防風ネットや強風に強い品種の検証などが進んだことで、「23年には限定発売のメドが見えてきた」(品田英明社長)。

プロジェクトは、「他にはない日本産のコーヒーを作りたい」という徳之島コーヒー生産者会・玉誠一代表の想いのもとで、17年6月26日に伊仙町役場、徳之島コーヒー生産者会、丸紅、味の素AGFの4者による契約締結によってスタート。徳之島のコーヒー生産農家を支援し、国産コーヒー豆を使った商品の発売を目指している。

徳之島は温暖多雨など立地的には国内でも数少ないコーヒー栽培に適した場所だが、台風被害や土壌改善、精選機など設備の不足、後継者問題などの課題を抱え、「4者が手を組むことでこれらの課題を解決し、継続的な生産体制を作り、植え付けから生産まで一貫して島内で行うことによる真のコーヒーアイランドを目指している」。

支援内容は台風対策、土壌改良、設備支援、種支給、生産技術支援の5つ。台風対策として苗木用の生分解性ポットや防風ネットを施した結果、昨年9月には大型台風24号が徳之島を通過したが、防風対策や種対策などが功を奏し、半分の被害で済んだ。「何もしなければ全滅状態だった」と言う。

今年10月から土壌分析と育苗指導を強化。全農家から土を採取して分析する一方で、丸紅の協力のもとワールドコーヒーリサーチ認証の種子会社であるコスタリカの育苗企業「サンポール社」の協力を仰いで産地知見を徳之島コーヒーに取り入れ、来年3月には農業技師を招いて交流する。また、台風に強い品種を世界中から集め、約10種類を栽培し、適性化を検証する。

徳之島コーヒー
徳之島コーヒー

土壌改良には、味の素社がアミノ酸を生産する際に出る副生物「アミハート」を活用することで成長を促進。通常は苗植えから3~5年で収穫できるが、ほぼ2年の前倒しで収穫可能になった。育苗には障害者支援施設や徳之島高校などに協力を依頼し、島内全域に取り組みが広がっている。

その結果、スタート時の育苗数は200本前後だったが、19年度には2千本レベル(収穫量100㎏)を見込んでおり、今後は「3年で1万本超(1千㎏)。そして22年のテスト販売、23年の限定発売を目指している」。

味の素AGF専用農場も生産者会の協力により来年3月には2.5倍になる見通しで、生産者も当初は17農家でスタートしたが、現在は30農家まで増加。来年3月13日には第2の実証農園をオープンする予定で、当日は式典および第1農場での初収穫イベントを行う予定。

同社は11月5日、プロジェクト説明会を開催。この中で丸紅の梶原和幸飲料原料部長は「コーヒー生産国は、今後5~10年間でどう生産量を拡大するか危機感をもっている。商社として生産農家を支援しながら生産の安定化を図り、結果的に消費量アップにつなげたい」と指摘。伊仙町の大久保明町長は、ビデオレターの中で「来年には奄美が世界自然遺産に登録される可能性もある。雇用創出に向けて企業誘致も積極的に行っており、何としても農業生産額を上げたい」と語った。

徳之島コーヒー生産者会の吉玉代表は「徳之島の3本柱はサトウキビと牛、馬鈴薯だが、これに加え新しい農産物としてコーヒー栽培を開始した。コーヒーを通じて子供たちが夢を語れるような農業を目指しており、徳之島高校総合学科の生徒さんたちに苗づくりを依頼した」とし、「2~3年後には消費者の皆さんのもとに徳之島でつくられたコーヒーが届くよう努力する」などと語った。