「みまもり自販機」行政と初連携 深谷市、警察署と協定書を締結 キリンビバレッジ

飲料自動販売機の機能をめぐり競争がし烈化している。災害発生時に災害情報を流す防災自販機や、訪日外国人に対して多言語で対応するおもてなし自販機、カードで商品を購入するとポイントが貯まるカード自販機など、数多くの進化機が開発されている。

こうした中で飲料メーカーは、「数年来、スーパーやコンビニ店が増加する中で、自販機の価値が薄れてきた。これだけのインフラがある中で飲料を売るだけではなく、時代に合わせて社会に貢献し、情報発信基地として活用すれば、自販機の価値はもっと上がるはずだ」と岩田実キリンビバレッジ常務執行役員自動販売機営業本部長は指摘する。

そこでキリンビバレッジは10月28日、深谷市および埼玉県深谷警察署、埼玉県寄居警察署と「防犯活動に関する協定書」を結び、その一環として独自開発の小型カメラを内蔵した「みまもり自動販売機」の展開を開始。当面は通学路や公園などに30台設置する。

「みまもり自販機」の取り組みは、2018年7月から西新井警察署と開始。今年9月までに30台設置。その結果、約1年間で西新井警察署への画像提供を複数回行い、地域の防犯に協力した。今回は警察署に加え、初めて行政(深谷市)との取り組みも開始。これにより広範囲な対応が可能となり、今後は深谷市との連携を精査しながら、他の自治体との取り組みも検討する。

防犯の仕組みは、自販機内のダミーの「生茶」に人の目線の高さで小型カメラを設置。映像データはマイクロカードに保存され、深谷警察署および寄居警察署が閲覧。万が一犯罪が発生した際には捜査の助けになることを目指す。自販機上部には「みまもり自動販売機」「防犯と皆様の安全のために防犯カメラでみまもっています」とPOPが貼られ、社用車にも「こども110番の車」ステッカーが貼られるなど、見守りの目を増やすことで地域の犯罪抑止力にもつなげる。

みまもり自販機(キリンビバレッジ/深谷市)
みまもり自販機(キリンビバレッジ/深谷市)

自販機側面にはキリンの前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーの発展に貢献した深谷市出身の渋沢栄一氏の絵が飾られており、深谷市のPRにも貢献する。

埼玉県警察本部調べによると、「欲しいものがあったら買ってあげる」など甘言や撮影、粗暴などの行為を受けた小学生は約52%に達し、また下校、帰宅途中の発生が全体の約59%を占めており、しかも県内および深谷市内における発生件数は増加傾向にあるという。街頭防犯カメラの設置により犯罪件数は減少しているが、自治体や警察が防犯カメラを設置するには費用が高額(約40万円)なため、思うように進んでいない。そこであらゆる場所に設置されている自販機を活用することになった。

キリンビバレッジは10月28日、深谷市および深谷警察署、寄居警察署と「防犯活動に関する協定書」を締結し、各氏は次のように語った。

小島進深谷市長 子どもたちは集団下校する時はいいが、最後の1人になった時が危険だ。深谷市には19校の小学校があり、みまもり自販機が設置されることは心強い。

鎌田政由喜深谷警察署長 高性能カメラが24時間見守れば犯罪抑止と防犯につながり、安全で安心なまちづくりにつながる。

千葉正寄居警察署長 みまもり自販機は、地域の防犯活動と共に犯罪抑止、地域の防犯意識の高揚にもつながる。