製油大手2社が提携協議 搾油事業で協業検討へ 日清オイリオとJ-オイル

日清オイリオグループとJ―オイルミルズは10月29日、搾油事業に関する業務提携の協議・検討を開始することで合意した。両社で共同プロジェクトを設置し、提携範囲と具体的な内容について検討を開始。2020年3月末までの業務提携締結を目指す。資本提携は検討しない。

業務提携検討の目的は、今後50年の環境変化を見据え、国内搾油産業の国際競争力および生産性向上を確保し、油脂・油粕の持続可能な安定供給体制の構築を目指すもの。

国内市場は少子高齢化やTPPなどの貿易協定の進展で総需要の拡大が難しい一方、世界的な人口増大による食資源確保や輸入製品の流入など国際競争の激化を見据え、製油業界の2大メーカーが搾油事業における協業を検討する。

業務提携検討の範囲は①両社の搾油設備を活用した受委託

②油糧種子や原料油脂の共同配船
③原油と油粕の工場間での等価交換
④災害時の工場操業停止など供給に問題が発生した場合の協力体制の構築

――。資本提携は考えていない。両社で共同プロジェクトを設置し、検討を進めるとともに、独禁法に抵触しないよう関係当局と相談し、20年3月末の締結を目指す。

両社は「互いの独自性と健全な競争環境を維持しながら、搾油工程において一定の協力体制を構築することで国際競争力を維持・向上するとともに付加価値をつけて個性を発揮する精製工程以降での競争をこれまで以上に活発に行い、それぞれの会社がより価値の高い製品を生み出し提供することを目指す」とコメントした。

縮小する国内市場「競争」と「協調」の実現へ

【解説】製油業界は00年代前半の大型再編で、日清オイリオグループ、J―オイルミルズの2大メーカーが発足した。02年当時の国内搾油量(原料処理量/暦年)は大豆400万t、菜種207万tだったが、18年には大豆239万t、菜種234万tと搾油構造は大きく変化した。この間、シカゴ大豆が過去最高値を更新するなど原料価格が上昇する中で、各社は合理化や油脂の付加価値化を進め、経営基盤の強化を図ってきた。

植物油製造業は搾油と精製と2つの異なる工程で構成される。日本の製油工場の多くは搾油と精製の双方を有しているが原料生産国の米国では原料集積地に搾油工場を構え、精製は消費地近接というケースも多い。日本と同じ原料輸入国の台湾では製油企業が共同で生産部門を統合し、販売は別というケースもある。

今回の業務提携協議開始の文書には、50年先を見据え両社の独自性と健全な競争環境を維持しながら将来にわたって安全・安心な油脂と油粕を安定供給し、日本の食を支える使命のもとで国内搾油産業の持続可能な供給体制を構築するための協議体を発足するとある。

人口減少に加え、TPPなど国際貿易協定の進展で国内の油脂・ミール需要は長期的に減少が予想される一方、安定的な原料確保や輸入製品との競争が激化する中で、国内の「食の供給」を安定的に継続するためには、輸入製品に負けない国際競争力の維持・向上が避けられないテーマとなっている。足元では中国の豚コレラによるミール需給の変化、世界的な需要拡大による穀物相場の高止まり、国内の物流課題など製油各社のコスト環境は厳しさを増している。製油2大メーカーによる業務提携協議は、国内搾油産業の新たな形を模索し、「競争」と「協調」の実現に向けて新たな一歩を踏み出すことになる。