ワインの「変えるべき習慣」

平安絵巻のような艶やかで厳粛な儀式に驚嘆の念を感じたが、個人的にはその後、国賓を招いた宴で提供された料理と酒に興味を持った。

▼白ワインは「コルトン・シャルルマーニュ2011」、赤は「シャトー・マルゴー2007」。ともにフランスを代表する高級ワインだ。「コルトン」は日本ではあまり知られていないが、モンラッシェに次ぐブルゴーニュの白ワイン。「マルゴー」はボルドーの5大シャトーの一つで、いわゆるトップ・オブ・ザ・トップ。渡辺淳一氏の「失楽園」のワインと言えば、40代以上は、ああと頷くかもしれない。

▼どちらも素晴らしいワインだが、日本の伝統の宴には相応しくない。歌舞伎の演目途中に外国人役者が出てきたような違和感を覚える。献立には松茸や伊勢海老など、山海の幸を使った繊細な味わいが並び、同じ土壌で育ったぶどう酒を合わせるべきだ。日本ワインは今や国内外から高い評価を受けている。自信をもって振舞って欲しい。

▼平成の御代替わりに使われた料理が踏襲されたと聞く。酒類も銘柄こそ違えど、同様なのだろう。「守るべき伝統と、変えるべき習慣」の観点から見れば、ワインは後者だった。