ミャンマー 日本の食品企業誘致進む 生産拠点、消費市場として魅力

アジアで残された最後のフロンティアとして注目されているミャンマー。2011年の民政移管後、急ピッチで民主化、経済改革が進められており、多くのビジネスチャンスが生まれようとしている。低賃金で良質な労働力があり、生産拠点及び消費市場としても魅力があるとされ、日本の食品、飲料企業の誘致が活発化しようとしている。

一般財団法人食品産業センターは23日、「ミャンマーにおける加工食品ビジネス」をテーマに米村紀幸ミャンマー経済投資センター理事長、クン・トゥーレイン日本貿易振興機構ヤンゴン事務所次長を招いて講演会を開催した。

講演に先立ち村上秀德食品産業センター理事長は、「食品業界は国内で生産額や売上げを伸ばしているが、それにも限界があり、各社とも海外でどう展開していくかを考えている」とあいさつし、海外展開の必要性を訴えた。米村氏、トゥーレイン氏の講演の一部は次の通り。

人口約5千400万人のミャンマーは、「低賃金で良質な労働力があり、生産拠点としても消費市場としても魅力がある。治安も良く、さまざまな部分で規制緩和が進められている」と米村氏。さらに急ピッチで民主化や経済改革が進められており、多くのビジネスチャンスが生まれようとしているとして企業誘致を勧めた。現在は約400社以上の日系企業が進出しており、「約3割の企業が利益を出している」と言う。

生産拠点として、「世界人口の約4割(30億人)に達する巨大市場に陸路でアクセスが可能なこと、豊富な労働力と人件費の安さ、法人所得税免税の恩恵」などのメリットがあるものの、「5千400万人の人口に対する食品製造分野での外資による市場へのアプローチはまだ少ないのが現状」(トゥーレイン氏)とし、早急な日本企業の進出を促している。

大塚HD「ポカリスエット」
大塚HD「ポカリスエット」

都市部は外資が進出していることにより、市民の所得は向上。モダンリテールが主役となっており、最近は複合施設、ショッピングモールの開発によりモダンリテールが消費の牽引役となっている。経済都市ヤンゴンは週末ともなれば多くの消費者がショッピングモールで買い物を楽しんでいるという。

こうした中で加工食品のニーズは高いが、国内食品メーカーの製造技術や機械化が遅れているのが現状で、輸入が大きなビジネスチャンスとなっている。だが外国資本の食品メーカーはまだ少なく、加工食品分野での投資は先行利益が期待できるとしている。トゥーレイン氏の調べによる主な日本企業の進出状況は次の通り。

17年にエースコックがティラワSEZで稼働開始。日清食品はキャピタル・ダイアモンド・スターグループ傘下の「Lluvia」と提携し、2020年までに1億食の販売目標を立てている。即席麺の市場規模はまだ小さいものの、今後の規模拡大が見込まれている。2017年度の国民一人当たりの即席麺消費量は11.5食(タイ49食、ベトナム57.6食)で、年々伸びている。

キリンは、15年に地場最大のミャンマーブルーワリを傘下に、17年にはマンダレーブルーワリを買収し、ミャンマーの9割のシェアを獲得。三菱商事は、地場大手のキャピタル・ダイアモンド・スターグループ(CDSG)の食品事業会社「Lluvia」に出資。プレミアムブランドで認知度の高いインスタントコーヒー(3in1)を製造している。

ミャンマーヤクルト
ミャンマーヤクルト

味の素社は、17年7月にうま味調味料をティラワSEZで生産し、順次新たな商材を投入。ヤクルト本社は、19年8月からヤクルトの販売を開始。8~12月まで平均1万8千530本/日を目標とし、アウン・サン・スー・チー国家顧問も工場を訪問するなど、政府要人の知名度も高い。

大塚ホールディングスは、18年に大塚ミャンマーを設立。19年4月から主にヤンゴン、マンダレーなど経済都市に住む富裕層を中心に「ポカリスエット」を提供。アサヒ飲料は、14年に地場大手ロイヘン社と合弁設立し、エナジードリンク「ハニーゴールド」を提供し、マンダレー以北の市場に強みを持っている。

また、都市部では外食や弁当、総菜、調理済み加工食品など中食の成長も期待されている。外食チェーンも進出しており、日本食レストランは150店舗あるが個人店が多い。「一風堂」「元気寿司」「ペッパーランチ」なども進出している。