LIMEX製の食品包装採用へ TBMと共同開発、プラ削減目指す 石井食品

石井食品は、石灰石由来の新素材LIMEXを製造するTBM(本社・東京都中央区、山崎敦義代表取締役CEO、資本金107億円)と食品包装用途の共同研究・開発に関する基本合意書を締結。21年までに主力製品「おべんとクン」シリーズのミートボール・ハンバーグで、LIMEX製パッケージ(軟包材)への切替えを目指す。

一般流通する食品の包装容器でLIMEXの利用を打ち出すのは初。世界的に環境への意識が高まる中、両社でLIMEX製の食品包装用途の技術開発を進め、脱プラスチックなど環境負荷低減の取り組みを進める。

TBMの山崎CEOは「食品用途の開発を進めてきたが出口が担保できないことが課題だった。今回、石井食品が最終製品で使用すると決断してくれた。0が1になることは今後の展開に大きな意味を持つ」と語った。

石井食品の石井智康社長は「食品メーカーとして環境対応は重要なテーマで、CO2削減や容器の軽量化に取り組んできたが、プラスチック包装などのゴミ削減は大きな課題だった。両社でLIMEX製品の用途開発を進め、主力製品への展開を実現したい。技術やコスト面の課題をクリアし、将来的には食品業界全体に広げていきたい」と期待を示した。

具体的な取り組みとして、石井食品では3段階でLIMEX製品の導入を進める。今年7月から名刺やアニュアルレポートなど、紙代替としてのLIMEXシートの活用を開始。第2段階では、今シーズンの重詰おせちの最上級グレード「慶春譜」(3段重)で使用する各パーツのトレー容器をLIMEX製に切り替えるほか、主力商品の「祝春華」「豊春」「冷凍おせち舞」もできる限りの対応を進める。

3ステップでは、21年までに主力製品「おべんとクン」シリーズのミートボール・ハンバーグ等のパッケージをLIMEX製に切り替える計画。

LIMEXへの切り替えを目指す製品群(石井食品)
LIMEXへの切り替えを目指す製品群(石井食品)

同シリーズは同社売上げの約8割を占め、小売店での配荷率も高い製品群。LIMEX製に切り替えが実現すると、同シリーズの包装材に使用する年間約232tの石油由来プラスチックを大幅に削減できるという。

LIMEXは世界中で資源量が豊富な石灰石を主原料とする新素材で、紙代替やプラスチック代替としての活用が注目されている。普通紙1tの生産には樹木約20本、水85tを使用するが、LIMEXは原料に木や水を使わず、石灰石0.6~0.8tとポリオフィレン約0.2~0.4tから紙代替のLIMEXシート1tが生産可能。プラスチック代替では、従来のプラ原料が石油由来樹脂100%に対し、LIMEXは石灰石を主原料とし、石油由来樹脂の使用量を大きく削減できる。

LIMEX製品は名刺や外食店のメニュー表、リーフレット等に使われているほか、プラスチック代替ではイベント時の食品容器(皿)やクリアファイル、ボールペン等で利用されている。

TBM社は日本発のユニコーン企業として注目を集めており、大日本印刷や凸版印刷、伊藤忠商事、ゴールドマンサックスなど企業からの直接投資、経産省、NEDOの補助金採択、サウジアラビア、モンゴル政府との国家プロジェクトなどグローバルに事業拡大を進めている。

世界のプラスチック包装の生産量は年間4億t超。このうち食品用途を含む包装容器は全体の約36%を占める。プラスチックごみに対する世界各国の規制が強まる中で、食品包装分野における環境負荷軽減は大きなテーマ。TBMとの基本合意締結を受けて、石井食品の株価は一時ストップ高となった。