手延べ麺、来春から値上げ 「揖保乃糸」が12年ぶり、5%アップ 他産地にも機運広がる

手延べそうめん、ひやむぎ、うどん業界が来春、値上げに踏み切る。「揖保乃糸」の兵庫県手延素麺協同組合は2008年以来12年ぶりに値上げを決定。今秋から来年春にかけて生産する「令和元年度産」手延べそうめん、ひやむぎの販売価格を、来年3月6日から末端で5%引き上げる意向を示した。乾麺市場で販売シェア1位の「手延素麺揖保乃糸 上級品300g」は上代で税抜400円になる。

職人の経験や人の手が必要不可欠な手延べ麺は、生産コストの8割近くを人件費が占める。「前回値上げした2008年に比べて最低賃金は20%近く高騰。組合員の後継者不足や人手不足により、人件費はさらに上がり、トータルで20数%上昇した」と井上猛理事長は話す。

また主原料の輸入小麦の麦価は17、18年の2年間、春と秋の4回続けて上昇。19年はともに下がったものの、累計でみると過去分を相殺できていない。さらに包装資材や水道光熱費などユーティリティコスト高騰が圧迫。「将来的に供給と品質を維持するためには、いま価格を上げることが適正だと判断した」(同)という。

影響力が大きい「揖保乃糸」の値上げ発声により、全国の産地でも価格改定に向けた動きが出ている。生産量が全国2位の島原では、産地最大の島原雲仙農業協同組合が9月以降、同様に次年度産そうめんの値上げ交渉に入った。三輪のマル勝高田商店は、そうめん消費が高い西日本で「揖保乃糸上級300g」と拮抗する「三輪の神糸」をはじめ、値上げ幅は未定ながら、商品に合わせて価格変更と規格変更の両建てで計画中。

このほか半田そうめん、小豆島そうめん、岡山県の「かも川」ブランドの有力2社も、改定率は未定だが値上げの方針を固めている。

小麦加工品では、昨夏に製パン製菓最大手の山崎製パンが実施。今春からはチルド麺大手、続いて即席麺業界が6月から一斉値上げした。

近隣の機械製乾麺では、今春に販売大手の日清フーズが一部の容量変更を行ったのを機に、市場で値上げが加速化。松代そば善屋、茂野製麺、葵フーズ、さぬきシセイなど乾麺専業が一部商品の値上げもしくは容量変更を実施した。

今秋はその他メーカーも追随して平均6~8%の幅で引き上げる。乾麺は春夏がメーンのため、来春に向けて準備に入るメーカーもいっそう増える見込みだ。